岩本 輝選手 (南陽工)

岩本 輝

球歴:南陽工

都道府県:山口

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:180.0 cm

体重:75.0 kg

学年:卒業

寸評

下記にある寸評は、6月に行われた春季中国大会で、実際に生で見てきた時に作成したもの。それから二ヶ月あまり、岩本 輝 に大きな変化は見られたのだろうか?プロ志望届けも提出した、中国地区屈指の本格派右腕について、今回は考えてみたい。 (ピッチングスタイル)  よく言えば9回までのペース配分を意識したよどみのないピッチング、悪く言えばアクセントに欠け抑揚に欠ける投球、それが、この岩本 輝 だ。けして球自体悪くないし、打者によっては力加減を変えないわけではないが、何か見ていて飽きる、そんな感じのピッチングなのだ。 (投球内容)  オーソドックスなフォームの本格派右腕。ガッチリした体格は、昨年の選抜よりも10キロ体重を増やしてきたことからも逞しさを増してきた。 ストレート 130キロ台後半~MAX144キロ それほど手元で伸びるとかキレのある空振りを誘う球質と言うよりは、球威も兼ね備えた球で、基本はコーナーを突いて詰まらせて討ち取るタイプ。山口予選では、40イニングで39奪三振を奪ったものの、全国レベルの中京大中京相手では、8回を投げて3奪三振から奪えないことからも、三振をバシバシ奪うタイプではないことがわかる。 変化球 スライダー・フォーク軸に カーブたまに 変化球は、横滑りするスライダーと縦に落ちるフォーク。春の寸評にはチェンジアップと記載したのは、それだけ鋭く落ちると言うよりは、ドロンとストライクゾーンに決まることが多かったからだろう。たまにカーブなども投げて来るが、球速の近いスライダーとフォークと言う二つの変化球が、投球の柱となっている。 その他 牽制は中々鋭く、ランナーの足をベースに釘付けにできる代物。更にクィックも1.0~1.15秒弱でまとめられるなど、ランナーを背負ってからのピッチングには隙がない。またフィールディングも落ち着いてボールを処理できている。  マウンド捌きも冷静で、試合を作れる投手。制球も両サイド中心に球を投げ別けることができ破綻はない。それは、山口県予選40イニングで、四死球15とイニング数の1/3以下に抑えていることからも伺われる。そのため、投球に大きな欠点があるわけではない。 <右打者に対して> ☆☆ 右打者には、外角に速球とスライダー、内角にストレートを投げ込んでくる。たまにフォークやカーブを投げ込んでくるが、右打者にはあまりフォークを投げてこない。 そのため投球は、速球とスライダーの単調なコンビネーションが中心であり、更にその球が真ん中~高めのゾーンに集まってくる。ストレート自体の伸びやキレがあるタイプではないので、コースを突いた球でも高めに浮けば打ち返されるケースが目立つ。この球筋を観る限り、まだまだプロでは厳しいと言う印象は否めない。 <左打者に対して> ☆☆☆ アウトコース高めに速球とフォークでカウントを整えることが多く、インコースに速球とスライダーで厳しく突く。フォークを多く交えることで、右打者に対してよりは、投球の幅は広い。 ただそれでも、球速の近い変化球と、高めに球が集まる傾向は変わらない。この辺が、この投手の投球が、抑揚に欠け面白みのない要因ではないのだろうか。 (投球のまとめ) 現時点での球威・球速がドラフト候補としては並レベルな上に、球質の観点でも優れていない。それていて、高めに集まる球筋や緩急に乏しい単調なピッチングなどを見ていると、ドラフト候補として売りできるほどのものがなく、物足りなく感じられるのだ。この辺は、生で見ると余計にそう感じさせる。"
更新日時:2010.10.01

将来の可能性

春季中国大会での球速は、私のガンで135~MAX87マイル(139.2キロ)。その頃に比べると、平均して2~6キロ程度速くなっているが、これが素直に成長分と言えるかどうかは微妙。実際に私のガンは、やや一般的なガンよりも球速が厳しめで、甲子園球場のガンとは5キロ程度平均して差があるからだ。 春季大会と言っても中国大会は、6月10日前後におこなれるので、実際に夏の予選が始まるまで1ヶ月余り、甲子園の本大会まで2ヶ月ぐらいしかない。また試合を見る限り、その時と大きな変化は変わらず、実際に球が速くなったのは鵜呑みはできない。 また予選までは、ノーワインドアップで投げていたのだが、中京大中京戦では制球を重視したのかセットポジションから投げ込んでいた。ただそのため打者に正対するのが早く、身体の開きは早くなっていた。三振が少なかったのも、一つこのことが要因ではないのだろうか。  投球フォームは、6月の頃と大きな変化は感じない。土台となるフォームは良いが、体重移動がイマイチで、ボールが前に乗ってこない欠点は改善されていなかった。 春季大会で見ていても、投手にしては意外にきめ細かさと言うか、その所作に投手らしい性格の選手ではないのかなと言う印象を受けたのは確か。自分のペース配分を刻める精神的な安定感はあるものの、一人の打者を仕留めるのに、投球にメリハリを付けたりするのは下手で、スタミナはあっても爆発力がある凄みのあるタイプではない。そのため、投球が単調に感じられるのだろう。  春季大会の時にも書いたように、土台となるフォーム・素材としての今後の上積みは、まだまだ期待できる。ただその一方で、総合力と言う意味では、まだプロとなるには物足りないと思え、何か武器となるものを身につけてからでもプロ入りは遅くないだろう。 ただ最近は、育成枠の導入より、プロの基準を満たしていなくても、スカウトや球団が何かしらの可能性を見出せれば、指名に踏み切る傾向が見られる。そう考えると指名の可能性は、充分残されていそうだ。ただ個人的には「旬」の時期ではないと考え、もう少しアマで力を養った方が良いと判断させて頂いた。
更新日時:2010.10.01

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