大谷に限らず必要な選手ならばどこでも…。栗山監督が語った理想のチーム像
「説得」の手腕にも期待がかかる栗山英樹新監督
夢の続きが始まる。そんな予感がした。侍ジャパンの監督に、前日本ハム監督の栗山 英樹氏(創価高校出身)の就任が決まり、2日に都内で記者会見が開かれた。
「野球に対して魂のある選手が多い。感動してもらえるようなチームにしたい」
2023年の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて、「栗山ジャパン」がスタートする。これから各球団の選手の選定に入り、徐々にチームを作り上げることになるが、大きな仕事として、メジャーで活躍するエンゼルス・大谷 翔平(花巻東出身)の出場が挙げられる。メジャーリーガーの出場には球団の許可がもちろん必要。大谷出場実現に向けても栗山日本代表監督の手腕が問われる。
この日の会見で栗山監督はこう力強く言った。
「ファンが見てみたいと思うような、夢のようなチームを作りたいとの思いはあります。大谷だけでなく、アメリカでプレーしている選手もいれば、日本でもいい選手がいる。勝てる選手を選んでいきたい」
そう前置きして「日本ハムの時もそうでしたが、僕の中ではバッター大谷と、ピッチャー大谷の2人がいる。全体像のなかで本当に必要であれば、誰がどこにいようとこちらはお願いに行きます」と熱意を示す気持ちを口にした。
熱意は得意としている。メジャー行きを希望していた大谷をドラフトで日本ハムは強行指名した。大量の資料を作り、大谷に日本を経てメジャーに移籍する選択肢を示し、最後に栗山監督からの「説得」で大谷が入団に合意した経緯がある。「メジャーで成功する」。大谷にとって、その目標のために日本ハムでステップを踏んだ道は間違いではなかった。もちろん、今季はア・リーグのMVPを獲得したとはいえ、大谷自身はもっと上を目指す意向でいることは、栗山監督も承知している。日本ハムで日本一になったように、日の丸を背負って、「世界一」への道も一緒に歩みたい気持ちもあるはずだ。
大谷は帰国会見時に、WBCについて聞かれてこう言った。「コンディションを含めて、自分がそういう立場にいなければいけない」。前回大会時には右足首を痛めて日の丸を背負えなかっただけに、侍ジャパンへの思いは強い。
栗山監督と大谷 翔平。ふたりの絆はステージが上がって、再び輝きを放つ時が訪れようとしている。
(記事:浦田 由紀夫)