佐野 涼弥選手 (浦和学院)
寸評
1年春からベンチ入りを果たし、130キロ後半の速球を投げ込んでいた左腕が、2年になり、浦和学院のエースへ成長した。 秋の大会ではエースとして県大会優勝に導くと、春の県大会でもリードを許していた聖望学園戦の6回裏から登板すると、縦スライダーを武器に、4回無失点の好投。チームを逆転勝利に導いた。 ストレートは常時130キロ前半~138キロを計測。角度があるストレートで球速表示以上と感じさせるストレートで、好調時は140キロ前半まで達することがあるようだ。 そして佐野本人が決め球と語る「縦スライダー」。これは高校の先輩から教えてもらい、習得した球種である。打者の手元でぎゅっと曲がり始め一気に急降下するスライダーで、面白いように空振りが奪え、ここまでの埼玉県大会でも縦スライダーを軸に三振を量産。この春の県大会3回戦では16奪三振完封勝利を達成している。 佐野が三振を奪える縦スライダーが投げられるのは、投球フォームに要因がある。佐野は、右足を高く上げてから、左足の膝を曲げてバランスを取り、その後、右足を一塁方向へ伸ばしながら、重心を少しずつ沈めていきながら、着地を行う。この後、テイクバックの動きを見ると、大きく取っていく。このとき、右胸を大きく張って、トップを作る。そこから真っ向から振り下ろす投球フォーム。佐野は縦の動きを意識して現在のフォームとなった。縦スライダーはほぼストレートと同じ腕の振りで投げるため、判別がしにくく、タイミングが取りにくいスライダーを投げることができているのだ。 このフォーム、足上げから体重移動までのバランスが非常に取りにくいフォーム。目線の位置がぶれたり、右肩の開きが早くなったり、頭が突っ込みとリリースポイントがずれるだけではなく、左肩、左ひじへ負担もかかりやすい。佐野が素晴らしいのはバランス感覚の良さで、これほど縦回転のフォームでもバランス良く投げ終えることができる。 現時点の総合力は埼玉県のみならず、全国的に見ても、トップクラス。このまま自分の器を大きくして、高卒プロを狙える左腕へ成長するか、注目していきたい。
更新日時:2017.05.05
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