秦 広明選手 (我孫子東)
寸評
194センチ110キロと堂々たる体格を誇る秦 広明。規格外の体格・パワーを活かした長打力はずば抜けたモノを持っており、プロ・アマチュア関係のスカウトも注目する。ここ数年の千葉県ではNO.1のスケールある選手ではないだろうか。この夏必見の逸材である。 (打撃) 拓大紅陵戦(2012年04月18日)では3打数1安打の活躍。ライトフライ、ファーストゴロ、センター前ヒットであった。彼の打撃で一番惹かれたのは打球速度の速さだ。 三打席前のセンター前の打球は圧巻。完全に追いつけない当たりであった。 スタンスはオープンスタンス。まず構えは窮屈さがないことが良い。グリップを高く掲げて、構えているが、余計な力みはなく、ゆったりと構えることが出来ている。グリップを揺らしながらリストワークを柔軟に使う意図が見える。 彼はスラッガータイプの割には仕掛けが早い。投手の重心が下がり始めたところから始動を仕掛けていき、小さくステップして、アウトステップ気味に踏み込んでいく。トップは深く取っていく。早く仕掛けているので、トップが遅れることはない。 最短距離で振り抜くのではなく、ヘッドのしなりを活かしたスイング。ボールを運んでいく感覚で打球を飛ばす。大振りはせず、コンパクトなスイングが出来ているのが良い。 仕掛けが早いので、振り遅れもない。ただポイントがずれた打撃が目立った。 彼は生粋のスラッガータイプではなく、内野の間を抜く鋭いライナーを飛ばしていく。放物線を描く本塁打を打つ選手ではなかった。 課題としては膝の動きが硬いので、もう少し膝を柔軟に使って低めの変化球を捌けるようにしたい。踏み込んだ時に膝が突っ張った状態になっており、投手にとっては崩しやすく、膝もとの変化球に対応しにくい。彼は巻き込み型でアウトステップ。外角でも引っ張る傾向にある。 夏にはもっとマークが厳しくなって、まともに勝負出来ない状況が続きそうだが、それはスラッガーといわれる選手の誰もが通る道。厳しい攻めを味わいながら自分の技術を磨き続けることが肝要だ。 (守備・走塁) 194センチ110キロという巨体。やはり動作は普通の野手に比べれば遅い。機敏ではなく、投手の時はベースカバーを苦手にしているように見えた。一塁の守備は、腰はあまり落ちないが、粘っこく守ることが出来ている。上のレベルでは一塁手として徹底的に鍛えなければならないだろう。 足は左打席に立っているが、4秒80と標準を下回るタイムで、速くない。完全に打撃で勝負していかなければならない選手であることが分かる。
更新日時:2012.05.01
将来の可能性
完全に打撃で目立っていかなければならない選手であろう。技術、甘い球を見逃さない鋭さという点ではまだ全国レベルの強打者と比べると見劣りするところがあり、千葉英和・中村 尋と劣るのは甘い球・打てる球を逃さない鋭さであろう。ただ素材としての奥行き、長距離打者としての可能性ならば断然、彼が上であり、194センチ110キロの巨体に確かな打撃技術が身に付いたらとてつもない強打者になっていく予感はある。 将来性という点ではとても楽しみな選手だが、守備・走塁含めてまだまだな選手で、まだ本格的に野球を教わっていない。高卒プロ云々というよりも、指導力が高い大学・社会人へ進みながら、大きな体を持て余すことないように技術を身につけるのではないだろうか。ただ打撃という点では今のスケールを失わせないように豪快な打撃スタイルを目指していってほしい選手。 最後の夏では持ち味の打棒が本領発揮し、シード校を震え上がらせるようなスラッガーに変貌していくか注目である。
更新日時:2012.05.01
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