佐藤 廉選手 (盛岡大附)

寸評

　旧チームから、唯一の2年生でレギュラー出場していた選手。恵まれた体格を生かした長打力が自慢で、特に右方向への打球が目立ちます。 （第一印象） 　クローズスタンスで、インステップに踏み込んでくるので、右方向への打球が目立ちます。逆に引っ張りにかかることは、あまりないのではないのでしょうか。クローズスタンスは、基本センターから右方向への打球に徹するべきであり、そのことを理解してプレーできています。唯一引っ張っていいのは、高めに甘く入った緩い球です。 （守備・走塁面） 　一塁までの塁間は、多少緩めて4.75秒ぐらい。これを左打者に換算しても、4.5秒ぐらいにしかなりません。更に全力で走り抜けても、4.4～4.3秒ぐらいにしかなりませんから、上のレベルで足を売りにする脚力はないと考えられます。 　そのため守備範囲は、あまり広く見えません。準決勝の盛岡三戦の模様を観たのですが、一つスライディングして詰まった当たりを好捕する場面は観られます。ただこれも、何処まで最初の一歩目のスタートや打球の判断が素早かったのかはわかりません。ただ球際でのプレーには、強さを発揮するタイプかもしれませんね。 （打撃内容） 　右方向にも打てるのではなく、基本右方向にしか打たないのだと思います。ただ始動が遅すぎるので、当たれば大きいのでしょうが、中々タイミングが一致し難い確実性の低いスイングをしています。 ＜長所＞ 　小さくベース側に踏み込んだ足元は、インパクトの際にブレません。そのため外角の球に対しては、開きを我慢してシッカリした打球を飛ばせます。また目線も大きくは動きませんし、軸足も大きくは崩れません。軸を起点に、調子の波の少ない安定した打撃が期待できます。 ＜課題＞ 　始動が遅すぎる上に、打撃の準備である「トップ」の形を作るのも遅れ気味です。そのため一定レベル以上のキレ・球速のある球には立ち遅れる心配があります。更にバットが外回りに軌道するので、ボールを捉えるのにロスを感じます。始動の遅さ・スイング軌道などを考えると、対応力に課題を感じずにはいられません。

将来の可能性

　アゴをグッと引いた構えからは集中力を、クローズスタンスで徹底的にセンターから右方向への打撃に徹している点からは、強いこだわりを持ってプレーしていることが伺われます。そういった野球への姿勢は素晴らしいのですが、まだまだ技術的には課題も山積みです。 　また守備・走塁でも際立つものがないのも、上のレベルを考えると気になります。それ故に、打撃で圧倒できるだけのものを身につけて欲しいですね。意識の高い選手ですから、目的意識を持って課題を乗り越えて行ってくれるのではないかと期待します。最後の夏までに、どのぐらいの選手に育っているのか期待したいです。2012年度の、岩手を代表する強打者として注目しています。