田村 嘉英選手 (龍谷大平安)
寸評
恵まれた素質がありながらも、なかなか殻を破る事が出来なかった右サイドハンドは、ようやく主戦投手として一本立ちし、2年連続甲子園出場に貢献した。 (投球スタイル) 昨年は右サイドハンドの軌道だったが、今は右スリークォーターからの軌道から投じている。球速は常時130キロ後半(最速142キロ)。球速は伸びていないが、バラツキが多かった昨年に比べると纏まりが出てきて安定して投球が出来るようになってきた。 変化球は120キロ前後のスライダー、120キロ前後のフォーク、105キロ前後のカーブを両サイドに散らせていきながら投球を組み立て、打たせて取る投球を見せる投手だ。 ただ開き始めが早く、それほどタイミングが取りづらい投手ではないので、外角を攻めていっても踏み込んで打たれているのが目立つ。彼は打ち難さを意識するよりも、自分の持っている力をフルに活かす投球スタイルが向いているかもしれない。球速を意識しすぎて、コントロールが荒れてしまっては困るが、これほど馬力のある体型ならば、もう少し球速が上がっていきそうな予感をさせる投手だ。 クイックは1.2秒前後と標準のクイックが出来ており、牽制も適度に入れて、フィールディングといった細かい動きもだいぶ良くなってきた感じがある。 (投球フォーム) 昨年では肘が立たないサイドハンドという印象を受けたが、今年は角度を付ける狙いなのか。腕の振りの軌道を変えていた。ノーワインドアップから始動し、体を沈みこませるまでは同じだが、グラブを天に向けて左胸に抱え込んでいく動きとなった。この動きはなるべく平行にした方が良い。 一番の課題は踏み込んだ左足の開きが早くなってしまい、それによって左肩の開きが早くなってしまい、出所が見やすくなっている。テークバックの回旋もぎくしゃくしていて、あまり良いとはいえない。前よりも肘が立つフォームになったが、連動性を感じない。それでも威力あるストレートが決まるのだから、もう少しフォームの連動性を意識していってほしい。 横回転が強く、肘を立てて振り下ろす姿は不格好ながら、益田 直也(関西国際大学―ロッテ)タイプ。この肘の位置の高さならばむしろ益田のフォームを参考にしていっていいかもしれない。
更新日時:2012.09.03
将来の可能性
昨年のおどおどしながら投げていた様子と比べるとマウンド上では落ち着いた様子で投球に入っており、精神面で成長が見られた。技術的には何かを変えていこうとする意識が見られ、真面目に取り組んで素質を伸ばす姿勢は垣間見えた。個人的にあのフォームを貫くならば、益田直也のスタイルを目指していった方が良いのではないだろうか。馬力もある投手であり、フォームの技術を高めていけば、もっと良くなっていく投手だ。 次のステージでは技術を高めるだけではなく、ピンチに強い勝負勘のある逞しい投手に目指していってほしい。それが実現すれば、高校時代とは別人の投手になっているかもしれない。
更新日時:2012.09.03
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