西川 龍馬選手 (敦賀気比)

寸評

　とにかくこの選手を一目観た時から、センスのいい子だなと思いました。立ち姿からして、他の選手とは雰囲気が違っています。実際に試合を見ても、その期待を裏切りません。 （守備・走塁面） 　一塁までの塁間を4.3秒前後ということで、高校生レベルとしては遅くありませんが、プロを意識するのには物足りないタイム。ただ実際には、もう少し足を生かしたプレースタイルなので、もっと速く走れるのかもしれません。この一冬の間に、もっと走力・走塁センスを磨いて欲しいと思います。 　遊撃手としては、フットワークからスローイングまでの身のこなしが滑らかで、高校生としては非常に安定してます。ずば抜けて打球の反応が素早いとか、スピード感を感じるわけではないのですが、安心して見ていられます。本人もプレーに自信を持っているでしょうね、余裕を持ってボールを捌いている気が致します。地肩も基準以上の強さがあり、更に技量を伸ばしてゆけば、上のレベルでもニ遊間候補として今後も期待される素材だと思います。 （打撃内容） 　ボールに逆らわない打撃ができる選手ですし、バットの芯でしっかりボールを捉えるミートセンスがあります。その反面まだ下級生ということもあり、スイング強さや鋭さといった力感に関しては、弱々しいなぁと言う印象は否めません。センスは光るので、確かな「強さを」意識して取り組むことを期待したいです。 （打撃フォーム） 　残念ながら始動がリリース直前と遅すぎるので、ボールを捉えるまでに余裕がありませんね。そのため打撃に必要な動作を、端折ることで対応しているのが残念です。これだけ遅い始動を操るのには、まだまだ圧倒的に筋力が足りなすぎます。始動を早めて、スイングの基本を身につけるべきです。 　スイングのすべてが、できるだけ動作を小さくして無駄をなくすことで対応しています。そのためボールを捉えるのは上手いのですが、ボールをはじき返す能力に欠け、スイングが弱く感じられます。これは金属バットだから通用しますが、レベルの高い投手の球を木製バットではじき返すことを考えると、極めて危険な行為です。今後も野球を続けることを考えるならば、しっかりしたスイングを身につけて欲しいと思います。

将来の可能性

　今一番目立つのは、安定した遊撃守備です。走力は平均的で、打撃はミートセンス・球の捌きには非凡なものを感じますが、上のレベルを意識すると課題の多いスイングです。強く・鋭く　をテーマに、この冬を過ごすことを期待します。単なるセンスだけのプレーヤーで終わるのか?　それとも段階を踏んで成長してゆくのか、今大きな岐路に立っているのではないのでしょうか。一冬越えた、見違えるような成長を期待してやみません。