西川 龍馬選手 (敦賀気比)

寸評

　福井県屈指のショートストップとして注目を浴びる西川 龍馬。北信越大会で彼のバットコントロール、センスの良い動きに目が留まったが、神宮大会では欠点を克服していく姿勢が感じられ、まだ課題はあるものの、来年の選抜へ向けてチェックを入れるべき選手が一人増えた。 (打撃) ボールを捉えるセンス・バットコントロールの良さ・上半身の使い方に筋の良さを感じたが、巧打者タイプにありがちな当て逃げが見られる選手だった。その課題は少しずつ克服しているように感じた。 スタンスはスクエアスタンス。歩幅を狭め、背筋を伸ばしてグリップを高めに置いて構える。やや腰が入っていない構えのように感じられる。投手の足が着地した寸前から始動を仕掛けていき、小さく足を上げて真っ直ぐ踏み込んでいく。 トップの動きを見ていくと捕手側方向へ引いていき、やや入りすぎているか。腰の開きが早くスライダー系の変化球が来た時にどれだけ踏ん張れるかが焦点となる。肘を畳んでコンパクトに振りぬこうとする意図が見える。上半身の使い方は綺麗だが、下半身の粘りが出てくればいいと評した北信越大会。 神宮大会では外角に落ちる変化球に対し、踏み込んだ足でしっかりと踏ん張って外角に綺麗に流し返す当たりを見て、課題に克服し、向上していく姿勢が感じられたのは好感。低めの球に膝を使い、リストワークの巧さを活かして綺麗に振り抜くのは筋の良さを感じさせる。彼は打球に合わせるのは上手い選手だが、スイングが弱く、強く叩くスイングにはいたっていない。左の好打者が必ずしもぶつかる壁だが、この壁を乗り越えていかなければ高いレベルの投手に対しては流し打ちしかヒットに出来ないと考える。 （守備） 　初回のゲッツーに入った時の動作から軽快な動きを披露。一つ一つの所作からセンスを感じさせる。打球に対する反応は北信越大会よりも良くなってきた。地肩の強さはショートとしては標準レベルだが、彼は捕ってから送球するまでのスピードが速く、スピード感のある守備を見せている。スローイングのコントロールについては安定感が欠くので、確実性を高めていきたい。 塁間タイムは4.2秒前後と標準の走力だが、足を売りにするタイプではなく、何かを仕掛けようとする意図が見えない。走塁の姿勢はどこか淡泊である。

将来の可能性

北信越大会と比べると技術的にも進歩しているし、低めを捌くのはセンスの高さを実感させてくれたが、まだ芯の強さがなく、スイングの強さがなく、本当の意味で巧打者と呼ばれるにはまだまだレベルアップが必要。守備・走塁も無難にこなす印象で、センスはあっても、そのセンスを存分に発揮させるだけの土台はないといえる。悪く言えば器用貧乏な選手。それを乗り越えるにはこの冬で追い込んで、どれだけ逞しくなれるかに尽きるだろう。 ぜひ選抜では逞しくなった姿を見せて、走攻守すべてで一回り成長した姿を見せてくれることを期待したい