釜田 佳直選手 (金沢)

釜田 佳直

球歴:金沢

都道府県:石川

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:177.0 cm

体重:77.0 kg

学年:卒業

寸評

2011年度の高校生で最も速いストレートを投げる釜田 佳直。 高校2年生の段階でマックス152キロ。そしてまだ成長の可能性を秘めている。 177センチ75キロ。それほど突出した体格ではない彼にどこにそんなパワーを秘めているのか。 来年の高校生のトップを行く投手である未完の豪腕・釜田 佳直の投球を振り返っていく。 (投球スタイル) ストレート マックス150キロ 常時140キロ~147キロ スライダー 125キロ~135キロ 縦のスライダー 125キロ前後 チェンジアップ 120キロ前後 カーブ 115キロ前後 大台の150キロは初回に3度計測。その後も常時140キロ後半を叩き出した。 だが、多くの人が感じている通り、彼のストレートは球速表示ほどではない。 フォームにタメがないためタイミングが取りやすく打者にとっては苦にしないストレートだ。 今の彼は指のかかったストレートを常時投げられるわけではない。 ストレートの精度を高めていくことが今後の課題になってくるだろう。 変化球も素晴らしい。特に横滑りするスライダー。135キロを超えるスライダーは大きく鋭く曲がり、空振りを狙える球種。 縦のスライダー、チェンジアップ、カーブと球種は多彩で、変化球を有効的に使うことができている。剛速球を投げる釜田だが、個人的には変化球の切れにも目に留まるものがあった。 (クイックタイム・牽制など) クイックタイムは1.1秒台と素早い。セットに入ってからも制球力が落ちないのは合格。 フィールディングも軽快で、投げ終わった後のダッシュも速いし、ベースカバーにしっかりと入っている。 牽制も上手く、投球以外の技術が高いのも見逃してはならない。 ただ速い球を投げる投手かように思われているが、投球以外の技術も高いということを覚えて欲しい。 (打者の攻め) ・右打者 外角中心にストレート、スライダーを投げ分ける配球。特にスライダーのコントロールは素晴らしく、135キロ前後のスライダーを外角ぎりぎりに決める制球力は超高校級。あまりインコースは多用しないが、外角へしっかりとコントロールできており、基本をしっかり押さえた投球ができているといえる。右打者は基本的にストレート、スライダーのコンビネーション。外角中心なので、狙い球が絞りやすいところがあるので、選抜までどう引き出しを増やしていくか注目だ。 ・左打者 左打者にはストレートを両サイドに投げ分けることができており、縦のスライダー、カーブを織り交ぜながら打ち取る配球。この投手の良さというのは速いストレートがあるのにも関わらず、ムキにならずそのストレートを両サイドに投げ分けることができること。速いストレートを投げる高校生というのは得てして粗さを感じさせるのだが、彼の投球を見ているとそれがない。 この投手の良さは速球投手にありがちな荒さがないこと。両サイドの投げ分けがしっかりできているし、変化球の切れは高校生としては水準以上。彼が「スピードには拘りがない」というようにピッチングが出来ている。ただストレートで圧倒できないのは物足りなさを感じる。 (投球フォーム) ノーワインドアップから入る。左足を引いて、そこからリフトアップに入る。左足を小さく回しこむように上げる。 軸足に体重を乗せる姿は斎藤 佑樹に似ているが、本人は斎藤に憧れており、いつのまにか斎藤 佑樹に似た形になっていたという。二塁方向に足を送り込んで捻転動作を取っていくが、すぐに解けてインステップしていくためタメがなくタイミングが取りやすい原因となってしまう。左腕のグラブを斜めに伸ばし、ぐっとグラブを左胸に抱え込みが、左肩の開きは早く、出所は見やすい。左打者にとっては見やすいフォームで、左打者ほど良い当たりをされていた。 テークバックは右肘を高く上げてリリースに入って行く。豪腕投手にありがちな大きいテークバックは取らず、実にコンパクト。コンパクトなテークバックができているからこそ両サイドの投げ分けが出来ていると考えるが、小さいテークバックから140キロ後半を投げる彼のポテンシャルは恐れ入るものがある。 リリースを見て行くと角度が低く、平面的な投げ方なため、打者は目線がぶれずに振ることができており、結果的に当てやすいストレートになっている。腕の振り自体はかなり速く、フィニッシュを見るとまだ上体の力が強すぎるためか。まだ膝が割れて、体が三塁側方向に流れてしまう時がある。真っ直ぐ体が流れるようになれば、さらに良くなるだろう。リリースに入るために軸足が離れてしまい、軸足を蹴る力をうまく使うことができていない。 まとめると彼の良さは ・高校生離れした腕の振りの速さ ・コンパクトなテークバック によって並外れた速球と高い制球力を生み出していると考えられる。一方で課題は ・ 左肩の開きの早さ ・ 軸足が使いきれていない ・ フィニッシュ時に体が流れることがある それが150キロのストレートを活かしきれていない要因になっていると考えられる。まだいずれも修正可能な課題であると思うので、この課題を克服出来た時、更に成長する予感はする。
更新日時:2010.12.10

将来の可能性

速球を当てられやすい欠点はあるものの、この時期で150キロを投げるスピード能力・変化球の切れは素晴らしく、投球以外の技術も高いことを考えれば、総合力なら超高校級といえる。技術的にも課題を抱えているが、能力の高さを考えれば、2011年度の高校生のトップを走る投手であることは間違いない。あとは彼の創意工夫次第だと思う。ポテンシャルは伸びきってしまったと思う。 今ある器を大きくするのは肉体改造か、体が大人の体つきになるしかない。今の段階で出来ることは技術を見直すしかない。 速球を速く見せるにはどうすればいいか、あるいは速球に更に勢い、切れを増すためにはフォームのどの部分を修正していけばいいか。試行錯誤しながらやっていくことが怪物と呼ばれる投手に近づいていくのではないだろうか。 明治神宮大会では150キロというスピード表示だけで観客を沸かした。選抜では投手・釜田 佳直として凄みのある投球を見せるだけだ。
更新日時:2010.12.10

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