鈴木 誠也選手 (二松学舎大附)

寸評

高校二年生ながらマックス147キロを計測する本格派右腕・鈴木誠也。投手としてのポテンシャルならば國學院久我山・川口貴都と匹敵するものがあり、来年の東京はこの２人を中心に盛り上げていくことになるのではないかと見ている。今後が大いに楽しみな逸材を取り上げたい。 （投球スタイル） ストレート　マックス１４７キロ 常時１３５キロ～１４０キロ前半 スライダー カーブ チェンジアップ ツーシーム ストレートのスピードはコンスタントに１４０キロを計時しており、そのスピード能力はうそ偽りない。だが球速表示ほどのモノは感じず、むしろ打たれることが多い。低めに集まらず、高めにしか速いストレートが行かない。高めに浮くので、簡単に痛打されている。川口 貴都との違いはストレートで圧倒できない点だ。だが変化球は多彩だ。スライダー、カーブ、チェンジアップ、ツーシーム。変化球の精度はまずまず高いし、ストライクを取れる制球力もあり、交わす投球ができている。交わすことができる上では川口より上だ。ストレートの質ならば川口、変化球ならば鈴木。長所が対照的な２人。ただ現時点では交わすことができる鈴木の方が将来性は上かなと見る。 （打者への攻め） ・右打者 ストレートは内外角、高めのつり球を使い分けながら、変化球を織り交ぜていくスタイル。ストレートが高めに入ることが多く、それを痛打される傾向が目立つ。 ・左打者 左打者を苦手にしており、高めに入ったストレートをホームランにされるなど、甘く入る傾向が多い。そのため変化球を交わしにいく。幸いスライダーだけではなく、チェンジアップ、ツーシームと多彩な球種があるために抑えることができているが、もう少しストレートの制球力を磨いてほしいと思う。 課題はストレートが高めに浮くことだろう。高めに浮いても変化球で交わせるのが彼の器用なところ。ただ器用すぎてストレートで勝負できないままでは上のレベルで苦しむ。 （クイック・フィールディング） クイックは1.1秒~１．２秒前後と素早いクイックはできており、捕手が１．９秒台を計測する山岸育ということもあり、まず盗塁するのは困難なバッテリーである。フィールディングは下半身が硬く、少し鈍い。フィールディングの動きがよくなると良いだろう （投球フォーム） ノーワインドアップから入る。左足をゆったりと上げていき、右足は真っ直ぐ上げる。バランスよく上げることができており、この形は良い。左足をショート方向へ伸ばしていきながら腰を沈めていき、踵から着地する。歩幅が狭く、踏み込み足は柔軟に使えていない。左腕のグラブを斜めに伸ばして、引き込んでいく。左腕のグラブの使い方はよく、しっかりと抱え込んで、体のブレを防ぐ。テークバックをコンパクトに取っていきながら、しっかりとトップに入ることができており、リリースに入る。肘をしならせて打者寄りで離す意識があるが、まだ球離れは早い。気になったのはフィニッシュ。軸足が後ろに残りすぎてしまい、体重が乗らずに踏み込み足のひざが突っ張ってしまっている点。体重移動を見直していかないと向上はない。体重移動ができないのはそこだけの欠点ではなくて、どこかが狂って乱れてしまっているので、「そこから」できていない部分を探しださなければならない。

将来の可能性

投手としての総合力は川口 貴都より上であり、あとは140キロ台を計測するストレートをさらに精度を高めるためにフォーム技術を磨いていってほしい。本当に素質は素晴らしく、個人的には高卒プロを狙えるほどの技量があると評価する。更なる高みを目指し、東京屈指から全国屈指の右腕として取り上げられる存在になることを期待している。