龍田 祐貴選手 (徳島商)

龍田 祐貴

球歴:徳島商

都道府県:徳島

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:175.0 cm

体重:77.0 kg

学年:卒業

寸評

 ここまで好くなっているとは、正直思っていなかった 龍田 祐貴 。甲子園では、MAX148キロの球速を叩き出しただけでなく、変化球も上手く交えてしっかりピッチングを構成。これからも、追ってみたくなるような好投手に成長していた。 (投球内容)  制球重視でランナーがいなくてもセットポジションで投げ込むのだが、それとは相反するように勢いよく足を引き上げる力投派の投球フォーム。勝ち気な顔立ちながら、意外に繊細な投球も披露。このギャップこそ、この男の最大の魅力なのかもしれない。  ストレートは、コンスタントに140キロ台を記録。勝負どころでは、MAX148キロを記録したように、馬力のあるところを魅せてくれた。ボールに勢いは感じさせるものの、基本は相手を球威で詰まらせる投球。ボールを両サイドに散らせつつ、スライダーとチェンジアップを中心に組み立て、カーブ・フォーク・それにツーシームなど実に多彩な球種を操っている。その中でも最も信頼できるのが、スライダーの精度。左打者低めに切れ込むスライダーは、この投手の中でも狙って空振りが誘える球となる。またもう一つ面白いのが、ツーシームの曲がり。この球をしっかりモノにできたら、この投手面白いになあと思えるほど、鋭い曲がりをする球だった。  細かい投球術があるタイプに見えないものの、状況に応じて力の加減にメリハリを付けたり、普段も多彩な変化球を駆使しつつも、両サイドにしっかりボールを散らせて来る。見た目のごつさと違い、かなり繊細な一面も併せ持つ。フィールディングも上手く、牽制も鋭いし、クィックも1.2秒前後と基準レベルにあり、投球以外の能力も高いものがある。もし体格が180センチぐらいあれば、高校からプロに誘われても全然不思議ではない投球だった。 (投球フォーム) <広がる可能性>  引き上げた足を地面に向かって伸ばすため、お尻を一塁側に落とせるタイプではありません。そのため見分けの難しいカーブで緩急をつけたり、縦に鋭く落ちるフォークのような球で、ピッチングの幅を広げて行くことは厳しいかもしれません。現時点でそういった球も投げますが、それほどキレがないのは、この辺のフォームに問題があるからです。むしろ彼の場合は、スライダーやチェンジアップ、更に手元で微妙に動かすカットボールやツーシームなどを磨くことで、ピッチングの幅を広げて行くタイプなのではないのでしょうか。 <ボールの支配>  グラブは、最後まで体の近くに抱えることができています。そのため両サイドへの制球は、かなり安定している方だと言えるでしょう。足の甲での押しつけは、もう少し長く地面を捉えて欲しいかなと思います。そのため粘りに欠け、少し低めへの押し込みは甘い気が致します。それでもボールを前で放せており、「球持ち」は好い投手だと思います。まだまだ指先まで力を伝えて繊細なコントロールをと言う程には見えませんが、将来的にはもっと自分の意志をボールに伝えマウンドを支配することが期待できます。 <故障への不安>  腕の振りには無理がないので、肩への負担は感じられません。特に縦の変化を武器にする投手でもないので、肘への負担も感じません。ただツーシームなどのシュート系の球を多く使うようになると、肘への負担は増えるかもしれません。ただ無理なフォームではないので、アフターケアに充分注意すれば、タフな活躍が期待できるのではないのでしょうか。 <実戦的な術>  少し残念なのは、「着地」までの粘りがさほどなく、打者からはそれほど苦にならないフォーム。また「開き」も、それほど遅くはないので、球の出所もあまり隠れてはおりません。それでも腕は強く振れるので、変化球との見分けは困難。あとは、もう少し前に「体重移動」が上手くできると、更にグッと体重が乗った球が行くのではないのでしょうか。 (投球フォームのまとめ) 「着地」「開き」「体重移動」などは悪くはありませんが、まだ物足りないものを感じます。そういった意味では、それほど実戦力が高いとは言えません。ただ「球持ち」がよく、将来的にもボールを上手く支配できる、コントロールの良い投球が期待できるのではないのでしょうか。更に肉体的にも強いでしょうから、将来的には更に球威・球速を増すような成長も期待できそうです。
更新日時:2011.08.17

将来の可能性

  けしてしなやかタイプではありませんし、高い投球センスは感じません。しかしその見た目以上に器用さがありますし、コントロール・多彩なボールも操れます。何か田中のマー君(楽天)のように、野手っぽい荒っぽさを残すものの、実はピッチングのツボはしっかり抑える嗅覚の良さが感じられます。馬力もある素材ですから、今後更に球威・球速のレベルアップも、まだ期待ができそうです。  高校からプロに行くようなタイプではありませんが、志しを高く持って野球を続けて行って欲しいですね。野球頭脳にも優れていそうなので、まだまだ資質を膨らませて行くことも期待できます。本人は、将来は野球の指導者と言う夢があるそうですが、ぜひプロと言う世界を目指す中で、また新たなものを発見できるかもしれません。近い将来、どれだけの投手に育っているのか、非常に楽しみな逸材です。
更新日時:2011.08.17

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