永江 恭平選手 (海星)

永江 恭平

球歴:海星

都道府県:長崎

ポジション:投手, 遊擊手

投打:右 / 左

身長:173.0 cm

体重:75.0 kg

学年:卒業

寸評

 昨夏の長崎大会を見た時は、常時135キロ前後で確かに馬力は感じたものの、今や140キロ台後半まで叩き出せるようになったと聞いて、その成長が楽しみだった。甲子園の東洋大姫路戦(2011年08月11日)。エース牧瀬 凌都 が、突然の故障降板、急遽その時がやってきた。 (投球内容)  170センチそこそこの上背ながら、ガッチリと肩幅の広い体つき。見るからに、馬力のある投球が期待できる。実際繰り出される速球は、甲子園のスピードガンで140キロ台後半を連発し、MAX149キロまで到達。数字の上からは、その成長は間違いないことがわかった。それなりの球の勢いは感じられるものの、東洋大姫路打線はこのストレートを打ち返して来る。実際この試合で永江が打たれた球は、ほとんどがストレートだった。  変化球は、スライダーとチェンジアップを織り交ぜて来る。これらの球に、相手を仕留めるだけの威力はないが、投球のアクセントとカウントを稼ぐと言う大事な役割を果たしている。永江は一見力だけでグイグイ押すだけの投手に見えるが、カウントが悪くなると力の加減を抑えて130キロ台のストレートを投げてカウントを整えて来る。けして投球術に優れたタイプだとは思わないが、クレバーな一面も秘めているのは間違いない。またさすがに普段は遊撃をこなすだけに、フィールディングなどの身のこなしは特筆ものだった。  気になるのは、普段は両サイドにボールを散らせるコントロールもあるのだが、結構中へ中へと甘く入ってくるストレートが多い。上背がないので、打者も球速ほど苦にせずに、高めに甘く入るストレートを狙い打ちしたのだ。非凡な球速も、まだまだ全国レベルのチーム相手には、それだけでは討ち取れないことがわかったのではないのだろうか。そこで技術的には、どういった問題があるのか考えてみたい。 (投球フォーム) <投球の広がり>  この投手、引き上げた足を高い位置までピンと伸ばすことができ、お尻自体は一塁側に落とせています。そのため見分けの難しい腕の振りでカーブを投げたり、フォークのような縦の大きな変化を身につけられる土台があります。しかし手が小さいでしょうから、フォークを挟むような動作には向いておりません。あえてフォークではなく、握りの浅い、スプリット気味な球を修得してみては如何でしょうか? <ボールの支配>  グラブも最後まで内に抱えれていますし、足の甲の押しつけも深く地面を捉えております。それならば、もっと両サイドや低めへの制球が良いはずなのですが、意外に制球がアバウトです。それじゃリリースが浅いのか?と言われると、「球持ち」も前で放せており、思ったほど悪くはありませんでした。ただどうなのでしょう?「球持ち」が良さそうには見えるのですが、実際にはどうも指先の感覚に優れているようには見えません。もう少し指先まで神経を通わせて、ボールをコントロールする意識を持ちたいですね。フォーム自体には大きな狂いはないので、もっと繊細な投球も可能なはずです。それでも昨夏に比べると、足の甲が押しつけられるようになり、ボールを低めに集めようと言う意志は感じられました。 <体への負担>  腕の角度を見る限り、大きな負担がかかるフォームには見えません。ただこれだけ小さな体で、非凡な球速を出しているのですから、消耗は少ないはずがありません。アフターケアには充分注意して、これからも取り組んで欲しいと思います。将来的に投手に専念するのならば、タフなリリーフでの活躍が期待されます。 <実戦的な術>  「着地」までの粘りは平均的で、体の「開き」も並ぐらいでしょうか、フォームにイヤらしさはなく淡泊な印象を受けます。これは、その動作以上に、投球の「間」の使い方が下手なのにも原因があるのかもしれません。腕は鋭く振られていますが、「体重移動」はそれほど上手く移ってはいません。そのため球速ほど、手元での伸びは感じないのかもしれません。どうしても重心が深く沈みすぎる投手は、後ろに体重が残ってしまう傾向にあります。ただ昨夏に比べると、「着地」に粘りが出て、「開き」の早さも改善されてきました。ただ肉体のパワーのみに走っていたのではなく、技術的にも向上しようと言う取り組みをしてきたことが伺われます。
更新日時:2011.08.17

将来の可能性

 将来的に投手に専念すべきか、内野手として野球を続けるべきかは、非常に難しい選択です。本人が、愛情を注げる方に専念されたらどうでしょうか?それだけ彼は両方の可能性に非凡なものを感じさせます。今回は、投手として考察したのですか、長崎大会の模様を振り返る時は、野手としても一度考察してみたいと思います。  一つだけ言えることは、結果的には打たれたものの、課題に向き合い、それをこの一年間改善しようと努力を積んできたと言うこと。それが一年前の県大会決勝で敗れたことを糧にし、見事リベンジを果たすことのできた原動力になった。そのことだけは、紛れもない事実だとハッキリとわかりました。この経験は、今後投手だろうと野手であろうと、彼の未来に大きな財産となって行くことでしょう。
更新日時:2011.08.17

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