乙坂 智選手 (横浜)

寸評

　米国人の血が流れる選手であり、高い身体能力と野球センスが魅力の外野手。その身体能力が買われ、プロからも注目されている逸材　それがこの　乙坂 智　である。選抜では、ドラフト上位候補の松田遼馬（波佐見）速球に詰まりながらもショートオーバーのヒットを放ち、さかさず盗塁を決めるなど、その野球センスの片鱗を垣間見せた。 （打撃内容） 　旧チームからのレギュラーで、経験豊富な選手。柔らかいリストワークを活かした巧打が、この選手の持ち味。その反面、何処かひ弱さが感じられるところが、この選手の特徴として上げられる。 　スクエアスタンスで、グリップを下げ気味に構えます。打席の中ではリラックスして、バランスよく構えられています。ただもう少し腰を沈め、構えた時にどっしり感が欲しいかなと言う印象を受けます。仕掛けは「早めの仕掛け」を採用するように、天性のアベレージヒッター。足を軽く浮かし、真っ直ぐ踏み込みます。最大の欠点は、インパクトの際に足下がブレてしまうこと。これにより身体の開きは早くなり踏ん張りきれませんし、パワーロスも生じるので打球が弱々しくなります。 　打撃の準備段階である「トップ」を早く作ることができ、上から綺麗に振り抜きます。スイング軌道に無駄はありませんし、最後まできっちり振り抜けています。目線のブレも少なく、ボールを捉えるまでの動作に優れます。あとは、スイング自体に強さ・鋭さを増して欲しいですね。ボールを捉えるセンスは良いので、上のレベルを意識できる力強いスイングの修得が課題です。 （守備・走塁面） 　新チーム結成以来の５５試合で２３盗塁を決めるなど、かなり積極的に盗塁を成功させています。上のレベルでも、足を売りにして行くスタイルが、この選手の持ち味になるでしょう。絶対的なスピード能力があるのかは微妙ですが、それを磨いて行くことが求められます。 　さすがに名門で鍛えられているだけあって、動きにソツがありません。極めて打球への反応・キャッチングが上手いとは思いませんが、ポジションニングやキャッチングなどは安定しています。地肩も基準以上のものがありますし、守備・走塁に関しては、上のレベルでも充分通用するのではないのでしょうか。

将来の可能性

　高い身体能力・センスには上のレベルの野球を充分意識できるものがあります。その反面、プレーの力感、貪欲さなどが、まだまだ物足りない感じが致します。何が何でもと言うボールに食らいついて行く姿勢や危機感がプレーからは感じられませんし、高校からプロでやって行くだけの基礎体力・筋力でも物足りません。 　それだけ精神的・肉体的な逞しさを身につけつつ、技術的にはブレない下半身の安定を期待したいです。夏までには、何処まで己を高めて行けるのか？地元選手だけに、その成長を間近で見守りたいと思います。