山下 翼選手 (九州学院)

寸評

抜群の脚力を活かした広い守備範囲と走塁センスで、プロから注目される逸材です。打っても鋭い巧打を連発する選手で、夏までの順調なアピールぶり次第では、高校からのプロ入りも期待できそうです。 （打撃内容） コースに逆らわない柔らかいバッティングができる選手です。また膝の伸縮を使って、低めの球を上手く拾えます。そういった柔らかさを活かしたミートセンスが、この選手の魅力になります。ただ高校からドラフトにかかるとなると、絶対的な打力がないのも確かです。その辺が、走力・守備力との兼ね合いで、どう判断するかは意見が別れる選手ではないのでしょうか。 前足を軽く引いて、バットを寝せて構えます。投手の重心が下がったあたりに始動する、平均的なタイプです。そのため長打と対応力をバランスよく兼ね備えた、中距離・ポイントゲッターが多く採用するスタイル。足を引き上げて降ろすタイプですが、それほど着地までのタイミングを図って足を降ろしているわけではないので、タイミングの取り方に非凡なものは感じられません。また踏み込んだ足下が、地面から離れるのが少し早いので、外の球を充分に待ちきれない欠点があります。 　打撃の準備段階である「トップ」を作るのは、けして遅くありません。バットの振りだしも、以前よりもロスなくボールが捉えられるようになりました。上手くヘッドを立てて、低めの球を拾う技術には見るべきものがあります。あとは、もう少し足下を長く地面を捉えて開きを我慢できれば、打ち損じも減るのではないのでしょうか。あとは、スイングにもうワンランク上の鋭さや強さが出てくると、体格いかんに関わらずプロを意識できるようになると思われます。 （守備・走塁面） 一塁までの塁間を、３．８秒台～３．９秒台前半で走り抜けられる本物の脚力がある選手です。ただこれだけ絶対的な走力がある割に、新チーム結成以来の６７試合で、盗塁は６つ程度と物足りません。プロでもトップクラスの走力の割に、走塁技術は課題を残します。 打球への落下点への入りやキャッチングなども含めて、その広い守備範囲活かした外野手守備は、高校生離れしております。この守備に関しては、プロでも充分に通用するものがあると思われます。ただ地肩に関しては、基準レベルぐらいと際だつものはありません。まあ中堅を担えるのならば、大きな問題にはなりません。ただ走力を生かし切れていない、地肩も並と言うことを考えますと、意外と守備・走塁のアドバンテージは少ない選手なのかなと思います。

将来の可能性

スピード能力はあるけど、走塁センスはもう一つ。外野守備は上手いけれど、肩は並。柔らかいリストワークは魅力も、スイングに凄みがないなど、まだまだプロ確定と言うほどの凄みは感じない。素材としては面白いものがあるが、夏までに更に成長したなと言うものがないと、ちょっと物足りないかなと言うのが、正直選抜までの感想だった。これから残り三ヶ月あまり、高校からプロに入るような選手は、ここからの３ヶ月伸びが違う。彼にもそういった成長を期待してみたい。