田村 伊知郎選手 (報徳学園)

田村 伊知郎

球歴:報徳学園

都道府県:兵庫

ポジション:投手

投打:右 / 左

身長:170.0 cm

体重:70.0 kg

学年:卒業

寸評

「何かを持っている」 昨年甲子園デビューした田村伊知郎。 日増しに増していくストレートの球威を増していく姿に多くの人が驚かされた。 数々の好投手を攻略した興南打線があれほどストレートに振り遅れる姿を見たのは初めてであった。 永田監督が絶賛するクレバーさ。投手として恵まれていない彼がこれほどのパフォーマンスを成し遂げてしまうのは自分を熟知しているクレバーさがあるからだろう。 この男は上のレベルでも結果を残す、あるいは彼をネガディブに見る声を黙らせる芯の強さがあるのではないかと見ている。 選抜でも好投手として取り上げられる田村伊知郎の投球を振り返りたい。 (投球スタイル) ストレート 144キロ 常時135キロ~141キロ スライダー 115キロ前後 カーブ   115キロ前後 縦のスライダー 120キロ前後 コンスタントに130キロ後半を叩き出すポテンシャルは高校1年生としては破格。ストレートの伸び・勢いは普通の好投手と何ら差はないし、既に3年生の投手と比べられるぐらいのレベルに達している。甲子園初戦では高めに浮くボールがあったものの、登板していくたびに安定した球筋を放るようになり、一番良かったのは準々決勝の新潟明訓戦(2010年08月19日)。 スピンのかかったストレートが次々と新潟明訓打線が空振りしていった。変化球は縦横のスライダー、カーブを投げていた。変化球のキレはまずまずだが、現状は見せ球程度か? 今の時期に変化球まで完成されたらたまらない。今の時期は変化球に拘らずストレートに拘ると良いと思う。 (打者の攻め) ・右打者 両サイドにストレートを投げ分ける投球スタイル。スライダーを混ぜているが、現状は速球中心の投球スタイル。それでも空振りを奪えているキレ・伸びは中々なものだ。 ・左打者 ストレートは両サイドに投げ分けるスタイル。こちらも時折、変化球を混ぜていくが、見せ球程度。やはりストレートのキレ・伸びが際立っており、空振りを奪うことができている。打撃レベル向上が著しい高校野球でほぼストレートの組み立てで抑えられているこの投手は凄いと思うのだが…。 (投球フォーム) 投球フォームについて。ワインドアップから入りゆったりと左足を上げていく。軸足はバランスよく立つ事ができており、軸がぶれずリフトアップの形は良い。左足を二塁方向に送り込んで、左ひざをやや浮かして着地していく。コンパクトにテークバックを取っていくが、初戦では肘がしっかりとトップに入らず、リリースしてしまい押し出すようなリリースになることが多かったし、左腕の開きも若干早かった。しかし徐々にその欠点は直り、しっかりと肘が立ち、トップを作って腕を振り出すことができている。球持ちは良く、伸びのあるストレートを投げることができている。フィニッシュはしっかりと腕を振り切ることができているが、まだ体勢を崩す事が多い。体の使い方が実に上手い投手で、小柄な体を存分に活かすことができている。左腕の使い方が若干甘いのか。この使い方が好くなると更に良くなるのではないだろうか。
更新日時:2011.03.21

将来の可能性

高校1年生とは思えない完成度を誇った投手だ。速球の伸びに関しては昨年の3年生を上回るほどのストレートを投げていた。これで体が出来てくればどんなストレートを投げるかわくわくさせられるものがある。 秋では夏に比べると不調に終わったようだ。ただ彼が凄いのは勝てていること。素材に凄味はあっても、不調だと打たれるか、対策されて打ちこまれる投手は数多い。彼の場合は勝てていること。そこが並みの素材型投手と違うところで、芯の強さを感じるのだ。これからも上背のなさを指摘されるだろう。本人も重々承知している。体格面では補えないところがあるから、彼はしっかりと頭を使っている。この投手は地味ながら着実にステップアップしていくのではないだろうか。今年の選抜でもドラフト候補に挙がる3年生にひけを取らない完成度の高い投球を見せてくれることを期待している。
更新日時:2011.03.21

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