目代 新選手 (南陽工)

寸評

将来も二遊間を担える可能性があると言う意味では、山田哲人（履正社）・吉川大幾（PL学園）など、ドラフト上位候補に次いで、今年３本の指に入るかもしれないのが、この　目代　新　だ。 下記のコメントにもあるように、６月に行われた春季中国大会でも少し印象に残っているのだが、この夏じっくり見ることで、彼の良さが改めてクローズアップされてきた。 （プレースタイル） 　好守・強打が、この選手の持ち味。上のレベルでも二遊間を担えるであろうディフェンス力に加え、確かな打撃技術と野球センスを兼ね備えた好打者。特に臭い球をカットして、甘い球が来るのをずっと待つ好球必打の打撃は、この甲子園でも光っていた。 （守備・走塁面） 　残念ながら、一塁到達タイムは計測できず。ただ春季大会を生で見た時や、今回の甲子園を見ていても、それほど足でアピールするタイプではないのかなと言う印象は受ける。今年の山口県予選６試合でも、盗塁は１個の数字からも、それは伺われる。この手の好打・好守のアベレージタイプにしては走力がないのは、一つマイナス要因なのかもしれない。 　ただそれを補って余りあるのが、遊撃守備。春季大会ではそこまで上手いようには見えなかったが、グラブ捌きが柔らかく球際でのプレーが目立ちます。地肩は、ノーステップでもアウトできるなど、かなりの強肩です。ただ山口県予選６試合で三失策と言う数字が示す通り、少し送球の精度が悪く、その辺が数字にも表れているのかもしれません。ただ上のレベルでも、二遊間を担うだけのポテンシャルがありそうなので、鍛え方次第では面白い選手だと思います。 （打撃内容） 　生で見た時は、もう少し打撃に強さや特徴が欲しいかなとインパクト不足でしたが、夏には素晴らしい打撃を魅せてくれました。非常にコンパクトにバットが振り抜ける選手で、技術に裏打ちされた素晴らしいセンスの持ち主です。特に臭い球はすべてファールでカットし、甘い球が来るのをじっと待てる粘り強さがあります。打球も右に左へと、幅広く打ち返すタイプです。 　前足を引いた左オープンスタンスで構えるのですが、力みがなくリラックスして構えられているのが好いです。仕掛けも「早めの仕掛け」を採用するなど、打撃スタイル同様にアベレージ打者の傾向がはっきり見てとれます。 足をまわし込むことで「間」が作れており、緩急に対応しうる打てるポイントの多さがあります。左の好打者らしくベース側に離れた方向に踏み出すアウトステップ打者で、それでも踏み込んだ足下がブレないので、レフト方向への打撃も可能にします。 打撃の準備段階である「トップ」を作るも平均的で、さほど遅れません。ボールを捉えるまでのスイングにロスがなく、コンパクトに綺麗に振り抜きます。この時のリストの柔らかさ・球の捌きの綺麗さは、なかなか見るべきものがあります。 頭の動きが小さいので目線がブレずボールを正確に捉えられますし、身体の開きも我慢でき力を内に貯めこめ、軸足も崩れないので波の少ない打撃が期待できます。体軸もしっかりしているので、綺麗な軸回です。 技術的・素材的にも、打つことに関しては、上のレベルでも充分に通用するだけのものがあります。あとは、どんどんレベルの高い選手と対戦することで、スピードやキレに対応して行けるのではないのでしょうか。

将来の可能性

この手のタイプにしては、走力でのアピールに欠ける点や、守備のポテンシャルはありながらも、やや安定感に欠けるところが、高卒プロとしてのマイナス要因でしょうか。 実際生で見た時は、そこまで良い選手には見えなかったと言うのも、甲子園で実際に見たスカウト達も感じたかもしれません。 　ただ上のレベルでも二遊間を期待できる守備のポテンシャルに加え、極めて高い打撃技術と野球センスがあり、個人的には非常に面白い素材だと今大会で思います。 中国地区の左の遊撃手と言うと、梶谷　隆幸（開星ーベイスターズ）内野手などがいるのですが、彼の高校時代よりも走力では劣りますが、ディフェンスの潜在能力は互角。 特に打撃技術に関しては、上のものがあるのではないのでしょうか。そういった意味では、育成枠レベルならば、プロに混ぜても個人的には面白い選手だと思います。 本人に高いプロ意識があるようならば、プロ志望届けを出してみても好いのではないのでしょうか。 私が担当ならば、指名リストに名前を残す選手だと思います。いずれにしても非常に可能性を持っている選手なので、中央の有力大学や地方の強豪大学や社会人など、レベルの高いところで野球を続けて欲しい好選手でした。