中川 諒選手 (成田)

中川 諒

球歴:成田

都道府県:千葉

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:180.0 cm

体重:73.0 kg

学年:卒業

寸評

「ホンモノになった!!」 甲子園でその快投を見ていて思った。下級生から彼の投球を見ている私のとっては彼の急成長ぶりに驚いている。昨年の県大会で千葉黎明に6点差を逆転された時の彼はおどおどしており、全く周りが見えていない状態であった。当時から「唐川二世」と呼ばれていたが、相変わらず「二世」の安売りはいい加減にしろと憤っていた。 それから彼は我々の想像を絶する努力を積んできたのだろう。予選では千葉黎明・習志野といった強豪を打ち破り、甲子園出場に貢献。そして甲子園では甲子園の常連・智弁和歌山に1失点14奪三振完投勝利を挙げ、一躍、全国にその名を知らしめた。よく私は心身ともに大きく成長した選手と圧倒的なポテンシャルを遺憾なく発揮する選手に対しては「ホンモノ」と呼ぶが、まさに彼は「ホンモノ」の投手といえるだろう。唐川二世ではなく、ホンモノになった中川 諒を振り返っていきたい。 (投球スタイル) ストレート マックス142キロ 常時133キロ~140キロ 「ホンモノになった!!」 甲子園でその快投を見ていて思った。下級生から彼の投球を見ている私のとっては彼の急成長ぶりに驚いている。昨年の県大会で千葉黎明に6点差を逆転された時の彼はおどおどしており、全く周りが見えていない状態であった。当時から「唐川二世」と呼ばれていたが、相変わらず「二世」の安売りはいい加減にしろと憤っていた。 それから彼は我々の想像を絶する努力を積んできたのだろう。予選では千葉黎明・習志野といった強豪を打ち破り、甲子園出場に貢献。そして甲子園では甲子園の常連・智弁和歌山に1失点14奪三振完投勝利を挙げ、一躍、全国にその名を知らしめた。よく私は心身ともに大きく成長した選手と圧倒的なポテンシャルを遺憾なく発揮する選手に対しては「ホンモノ」と呼ぶが、まさに彼は「ホンモノ」の投手といえるだろう。唐川二世ではなく、ホンモノになった中川 諒を振り返っていきたい。 (投球スタイル) ストレート マックス142キロ 常時133キロ~140キロ スライダー 115キロ前後 チェンジアップ 90キロ前後 以前の中川はそこそこの切れはあったものの、指にかかるとき、かからないときの差が激しく、不安定な投球を見せていた。今年に入ってから球速、伸びが一気にレベルアップ。浮き上がるように伸びていく速球は昨年の投球では全く見られないボールであった。スピードも140キロ以上に達したが、それよりもスピードガンで測れないボールの伸び。剛速球マシンを打ち込み、速球には比較的強い智弁和歌山打線が振り遅れていた。千葉大会で際立っていたストレートの伸びは全国レベルでも通用することが証明された。気をつけていきたい。 変化球は小さく曲がるスライダーにシンカー気味に落ちるチェンジアップ。二つとも打者の手前で曲がるので、精度は高い。この二つの球種は決め球というより、ストレートを活かす見せ球。しかしアウトコース低めにしっかり決まる変化球なので、振り回す打者にとっては有効的な球種だ。それでも彼はストレートで押していくタイプであることは変わりないだろう。 (クイックタイム) クイックタイムは (打者の攻め) ・右打者 外角中心にストレート、スライダーを集める基本的な投球スタイル。彼が素晴らしいのは外角ストレートのコントロール。ベース上ぎりぎりに集める制球力は全国屈指だ。 スライダー、チェンジアップを交えていくが、スライダーはアウトコースに外れるため見極めやすいが、振り回す打者にとっては大きな武器になる。インコースに投げ込む頻度は少ないため、今後の試合ではインコースを交えながら、アウトコースのストレートとスライダーを活かす配球をしていくと、更に点が取られ難い投手になるだろう。 ・左打者 左打者に対しても外角中心にストレート、チェンジアップを投げ込む配球。左打者に対してのコントロールも抜群。智弁和歌山戦では西川遥輝に対してインコースを徹底的に攻めながら、アウトコースのチェンジアップで空振り三振に奪うなど、「力」の投球だけではなく。「技」の投球を見せつけた瞬間であった。 ストレート、スライダー、チェンジアップと球種は少ないが、伸び上がる速球+抜群のコントロールがあるので、コーナーを散らすことによって引き出しは増えている。 また彼が大きく変わったのは間の取り方とマウンド度胸。投球フォームの「間」を変えたり、投げるまでのインターバルの時間を変えたりと、相手打者を惑わす工夫ができるようになった。1年間で大きく成長した部分であり、追い込まれると周りが全く見えていない去年の彼とは全くの別人だ。何より追い込まれるほど強気にストレートを投げ込むメンタルの強さは投手として大事な資質であり、これも大きく成長した点だ。今の彼は「気の強さ」と「クレバーさ」を兼ね備えた投手になった。 (投球フォーム) 左足を大きく引いて、振りかぶり、ゆっくりと左足を大きく上げる姿は唐川に似ている。ゆっくり足を上げて溜めを作り、足を降ろしてから、テークバックからリリースまでぴゅっと腕を振っていく。以前と変わったのは腕の振り。スリークォーター気味だったのを若干腕を下げた。本人にとって一番投げやすい形だったのか、以前よりも腕の振りが鋭くなり、打者寄り前に離すことができるようになったため、バックスピンがかかるストレートになった。腕の振りは適正な位置になったことで、腕の振りを下げても肘の位置は肩より下がることはなくなったので、負担は少ないフォームになった。彼が千葉大会で7試合投げ抜くことができたのはこの腕の位置で投げられたからだろう。そして軸足のスパイクを押さえ付けることによって、下半身の粘りが生まれ、腕の振りと同時に下半身を鋭く回転させることによって、腕の振りが更に速くなった。開きをぎりぎりまで抑えて、そこから腕を振り抜いていく。打者にとってはゆったりとしたフォームとリリースとのギャップの違いに惑わされるので、タイミングが取りづらく智弁の選手たちが振り遅れていたのはボールの伸びだけではなく、フォームによって遅らされていることに気付く。  これほど実戦的なフォームができているのは、肩関節と股関節の柔軟性の高さ。テークバックと腕の振りを見れば、柔軟性の高さを実感できる投手で、そして下半身の回転の鋭さと粘り強さを見れば、実に力強く、股関節を鍛え込んでいる跡が伺える。フォームの技術は昨年に比べて格段に良くなった。
更新日時:2010.08.08

将来の可能性

千葉大会から圧倒的なパフォーマンスを示してきた中川。甲子園のパフォーマンス次第ではプロのスカウトが指名候補に入れる可能性はあると思っていただけに初戦で最高のパフォーマンスをしたことで、彼をマークする球団があっても不思議ではないだろう。 個人的には球速・ボールのキレ・制球力・フォームの土台の高さ・間合いの取りかた・メンタルの強さは高校生としてはA級だと思っているので、ぜひ高卒プロを目指してほしい逸材である。 昨夏には滅多打ち、昨秋は故障に苦しみながらもここまで成長した努力には素直に拍手を贈りたい。ようやく彼は「ホンモノ」になった。「ホンモノ」になった彼に「唐川二世」というニックネームは失礼だ。
更新日時:2010.08.08

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です