森本 隼平選手 (中京大中京)

寸評

　　ＭＡＸ１４５キロを誇る球速の持ち主で、選抜ではプロからも熱い視線を送られていた。しかし持病である肩痛の影響か？１２０キロ台〜１３０キロ台中盤が精一杯。続く２回戦も、若干の改善は観られたものの、投手としては大きく評価を落とすことになる。 そんな中、スカウト達が注目したのが、野手としての才能。一年先輩である堂林翔太（広島）のように、投手でありながら非凡な野球センスを高く評価して、野手としての可能性を見出しはじめている。今回は、そんな野手としての可能性について、ここでも考えてみたい。 （守備・走塁面） 淡々と投げ込む冷静なプレート捌き。牽制も鋭く、フィールディングも上手く、クィックも１．１５〜１．２５秒と鋭いなど、素早く自分の身体をコントロールできる選手だ。少なくても肩の故障の心配はあれど、投手だけに地肩も好いはず。その身のこなし・持ち得る野球センスからしても、野手としての活躍も充分期待できる。 ただプロで二遊間を担える素材かと言われると、それほどスピード感がある身のこなしではないので、一塁・三塁・外野手あたりが適任なのだろう。元々彼を最初に知った１年生の頃は、確か一塁手をやっていたと記憶する。 一塁までの塁間は、４．２５秒前後と、ほぼプロの基準レベル。ただ投手と言うポジション柄もあるが、２０試合で盗塁は３個と、けして積極的に走るタイプではない。一塁手での出番も多かった１年秋も、３５試合で５盗塁だったことを考えても、足を売りにするタイプではないのだろう。 （打撃内容） 中軸を担うその打撃は、強打者と言うよりは、柔らかいリストワークを活かし、ボールに上手く合わせる好打者との印象が強い。そのた将来的には、波の少ないアベレージヒッターになりそうだ。内角の捌きに非凡な才能があった堂林とはタイプこそ違うが、そのミートセンスは選抜組でも一番の資質の持ち主ではないのだろうか。ただ才能があるからといって、即プロ入り決定かといえば、話はそう単純ではない。

将来の可能性

　技術的な部分に関しては、ほぼ高校生にしては完成形と言うぐらい高いものがある。ただその一方で、肉体的な強さに関しては、まだまだ故障に泣かされてきた部分もあり物足りない。また動作の「鋭さ」や野球に対する意識の高さなども、同様に高校生といった感じは否めない。そのため野手として考えた場合、長打が期待できないタイプにしては、足も平均レベルであり、かつ守備的負担が高い二遊間や中堅を担うほどの身体能力があるかと言われると疑問が残る。 　そのプレースタイルを観ていても、まだ何が何でもプロと言うギラギラしたものが感じられず。高校からプロに入ろうと言う選手の臭いはしてこない。そのため心技体のうち、「技術」こそ超高校級であるのだが、心と体の部分は、まだまだドラフト候補と言うレベルには至っていない。 　ただその打撃センスは、私はドラフト１位で入団した堂林翔太（広島）よりも、むしろ上だと評価したい。彼の目の色が夏までに変わって来るようであれば、迷わず高校からプロ入りにＧＯ！サインと言うことになるであろう。秘めたる打撃センスは、今大会ＮＯ．１だ！