寸評

大阪大会決勝に貢献した右の好投手。小柄ではあるが、全身をいっぱいに使ったフォームから140キロを計測する右腕。決勝まで6試合に登板し、48イニング三分の2を投げて7失点と安定した投球を見せた。

(投球スタイル)
ストレート　マックス140キロ
常時130キロ中盤～130キロ後半
カーブ　90キロ前後
スライダー　115キロ
縦のスライダー　120キロ前後

3連投ながらコンスタントに135キロ前後を計測しており、指がかかったときは中々力強いストレートを見せている。変化球はカーブ、スライダー、縦のスライダーを投げていく。カーブは時折投げて目先を変えるために使っているようだ。スライダーはカウント稼ぎのために使っている。縦のスライダーは落差があり、空振りを奪える球種。この球種を決め球として使っているようだ。速球、変化球ともに低めに集まっており、大崩れしない投球が出来ている。

(クイックタイム)
クイックは1.3秒前後と腰を落とすフォームなため、あまり速くない。牽制はまずまず入れるし、フィールディングの動きも悪くない。

(投球の攻め)
・右打者
外角中心にストレート、スライダー、カーブを投げ分けていく配球。ストレート、スライダーともにコントロールできており、時折カーブを投げて目先を変えたり、インコースへズバッとついて見逃し三振を狙っていく配球。
・左打者
外角中心にストレート、変化球を投げ分けていくが、追い込むとインコースへずばっとついていく。しばらくインコースを多用していたが、中盤では縦のスライダーを決め球に使い、三振を奪うようになり、イニングに応じて組み立てを変えて打ち取っている。

両サイドに投げ込める制球力があり、尚且つ縦の変化球があり、緩急も使える投手。小柄な投手ではあるが、それを補う投球ができている。また気持ちの強さを感じれ、小柄であることが逆に彼のメンタルの強さを生んでいる。

(投球フォーム)
小柄ながら体をいっぱいに使うフォーム。
ノーワインドアップから入り、左足を真っすぐ上げていき、右足はしっかりと立つ。左足を二塁方向に送り込んで、お尻を落として、下半身が先行して並進していく。左腕のグラブを上向きにして引き込んでいき、やや大きくテークバックをとってリリースに入っていく。高い角度から振り下していき、力強く腕を振り抜く。土台の良い投球フォームをしており、この体でコンスタントに140キロを計測できるのはバランスの良い投球フォームだからであろう。全身を目一杯使う投球フォームは球数を重ねるごとに崩れやすいもの。真夏で長丁場の大阪大会の決勝まで導きながら、140キロ台を計測する。スタミナは強靭なものがあると窺える。

将来の可能性

小柄だが、高校生としてはある程度完成された投手だ。キャパシティとしては恵まれていないので、ここから球速・球威を伸ばすにはフィジカル面を徹底的に鍛えて伸ばしていくしかない。
大学以降で専門的なトレーニングを積める環境でやれば、145キロ～150キロは見込める土台を持った投手ではないだろうか。非常に気が強い投手だし、目指すは美馬学（東京ガスー楽天）だ！