聖光学院vs日大三
ドラフト候補・強肩捕手 山浅龍之介が勝利に貢献 日大三の足を封じる
山浅龍之介 ※写真は過去の大会より
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<第104回全国高校野球選手権大会:聖光学院4-2日大三>◇9日◇1回戦◇甲子園
見応え十分だった。〝ドラフト候補″という視点では聖光学院(福島)の捕手、山浅龍之介(3年)の強肩が目を引いた。イニング間の二塁送球は初回から1.89、1.87、1.81秒を計測し、そのあとも1.9秒台を連発。捕球してからのフットワークや二塁ベース上へのコントロールも安定し、日大三(西東京)は足での攻略は早々にあきらめたのではないか。それを象徴したのが日大三のバント作戦。1回はヒットで出た走者をバントで送って先制点に結びつけ、4回は四球で出た走者を6番打者がバントで野選を誘い、一、二塁にしてから7番打者がバントで送って二、三塁にし、8番打者の二塁野選で何とノーヒットで2点を入れた。最近、いろいろな試合でバントの失敗を見てきたためバントの戦術としての有効性に疑問を抱いていたが、久々に目の覚めるようなバント攻撃を見て思いを新たにした。そのバント攻撃に思い切らせた一因に山浅の強肩があったと私は思う。
日大三の犠打5に対して聖光学院は3。この日大三の小技を圧倒したのがバッティングの大技である。0対2にされた4回裏、二塁打で出塁した高中一樹内野手(2年)が暴投のあとの三塁ゴロで生還。5回裏にはヒットで出塁した先頭打者が次打者の三振と自身の二盗失敗でゲッツーになるが、二塁打で出塁した1番の赤堀颯内野手(3年)を2番高中が2ボールのあとの3球目を左翼席に放り込み逆転。8回裏には1死走者なしから4番三好元気外野手(2年)が1ボールからのスライダーを振り抜いてダメ押しの1点を入れた。
得点には結びついていないが、生田目陽内野手(3年)、小林剛介投手(3年)は2ストライクになるとノーステップで投球を待ち、高中、三好各打者は小さい動きでタイミングを取り、日大三が繰り出す技巧派投手に対抗した。
この好試合をさらに盛り上げたのが走塁である。私が俊足の基準にする「打者走者の一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」を達成したのは聖光学院3人3回に対して日大三は4人6回。日大三に私が持っているイメージは「強打」で、全力疾走には縁遠いチームだと思ってきたが、「個人技で対抗できないならバント、全力疾走など小技を徹底して勝ちをもぎ取りにいこう」というのが今年のチームの特徴。この勝利への執念を跳ね返した聖光学院は強いと思う。
(記事=小関 順二)