試合レポート

関東一vs攻玉社

2018.07.14

関東一大苦戦!攻玉社・田中が1失点の好投!

 2年ぶりの甲子園出場に期待がかかる関東第一。4番・石橋康太を中心とした打線は都内随一だが、攻玉社の先発・田中陸(3年)の前に苦しんだ。ちょうど1週間前、1回戦の早稲田戦に先発した田中は8失点を喫していた。

 早稲田戦では最速120キロ後半だった田中。コントロールも甘く、高めに入った直球を痛打されていた。大東一戦では1失点に抑えているとはいえ、全国レベルを誇る関東一打線を苦しめる投球を見せることは予想できるだろうか。

 この試合の田中はそれまでの田中とは別人だった。右スリークォーターから投げ込む直球は常時120キロ~133キロ(最速136キロ)とアベレージが5キロぐらい違う。外角へのコマンド能力も高く、厳しいコースでも簡単にストライクが取れる。さらに変化球も120キロ前後のスライダー、100キロ前後のカーブの切れ味、コントロールも早稲田戦と比べると格段に良い。関東一の打者は「思ったよりストレートが来ている、思ったより変化球が切れている」と感じたかもしれない。コントロールも、テンポも良く、関東一の打者の間合いにさせない。関東一の主砲・石橋に対しても第1打席は三ゴロ、第2打席は左飛に打ち取り、5回まで2安打に完璧に封じ込み、堂々たるピッチングを披露していた。

 だがこういう状況でしっかりと守れる関東一の強さ。6回表には一死二塁のピンチを招いたが、捕手・石橋がリードの大きい二塁走者を見逃さず、二塁けん制で刺してピンチを切り抜け、そして7回裏。先頭打者として登場した4番石橋がスライダーを逃さず、左横線を抜ける二塁打で無死二塁のチャンスを作り、一死三塁となって、6番石田慎一郎(3年)が右翼線に落ちるしぶとい安打でついに先制点を挙げた。

投げては関東一藤本幸輝(3年)が好投。藤本は181センチの長身から角度あるストレートを投げ込む大型右腕である。この試合では常時130キロ~136キロ(最速138キロ)のストレート、120キロ前後のスライダー、125キロ前後のフォーク、100キロ前後のカーブを内外角に投げ分け、攻玉社打線を3安打に抑え、9奪三振完封勝利。苦しい初戦を制した。

 関東一ほどの強豪といえども夏の初戦は苦しい。そう思わせるゲームであった。それでも無失策と破綻なく守り切ったのは見事だった。

 敗れた攻玉社。エースの田中が最後まで130キロ前半と球速が落ちず粘り強く投げ切った。田中の力投はスタンドの観衆を虜にさせ、攻玉社の打者が出塁したり、田中が打ち取るたびに歓声と拍手が起こり、試合終了後のあいさつで。攻玉社ナインは万雷の拍手を浴びていた。

(レポート=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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