沖縄高専vs美来工科
我慢を覚えた高専ナインが終盤のチャンスをものにした
沖縄高専・新城翔太
「 この子たちが負けるパターンというのは、リードされている場面で早く追い付かなくてはと焦ってしまうことでした 」と、春から沖縄高専で指揮を執り始めた若干21歳の大城龍之助監督は試合を振り返った。
春の対外試合解禁日から15試合以上練習試合を組んでは、彼らに毎日のように「 君たちの打力なら追い付ける 」と言い聞かせてきた。
もちろんそれだけの練習も積んできた。
その自信を持って臨んだ開幕ゲームで、4回裏。
米須海斗の二塁打を足掛かりに一死三塁とすると、キャプテンの照屋雄大が見事初球スクイズを成功させて先制した。だが、沖縄高専の大黒柱である新城翔太の調子が上がらない。
5回表、死球、ボーク、ワイルドピッチなどで一死一、三塁とされると犠飛で同点。
さらに「 今日はストライクが入りませんでした。みんなに申し訳ない 」と制球に苦しむ新城の連続四球で満塁。
ここで美来工科は、3番玉城順市が期待に応える2点タイムリー。
一気に試合をひっくり返すと美来工科は続く6回にも、6番からの三連打で1点を加えた。
2点タイムリーを放つ美来工科・玉城順市
先発の左腕・屋宜 裕は、6回を終了して僅か3安打と踏ん張っていたが、新城同様これが開幕戦のプレッシャーなのだろうか。
こちらも最後までコントロールが定まらなかったのが痛かった。
7回裏、二死とするが新城に死球を与えて一、二塁と得点圏に進めてしまうと沖縄高専の金城匡佐武(まさむ)、米須海斗に連続長打を浴びて同点とされてしまった。
こうなると沖縄高専ペース。
8回裏には、1番具志恭生(ぐし・やすき)にタイムリー三塁打が出て逆転すると、仲田匠吾(しょうご)もライト前へ運び大きな2点を加えた。
マウンドの新城も7回以降立ち直り、ヒット11本に抑え144球で完投。
キャプテンの照屋は「 自慢の守りでベスト16が目標 」と試合後に語った。
この日駿足揃いの那覇を7対0で破った強力打線の陽明との2回戦が楽しみだ。
敗れしまった美来工科だったが、この日は実力の半分も出しきっていないだろう。
勝負強さを発揮した玉城順市を始めとする打線もまだまだ成長過程。
緩いカーブを有効に使う左腕・屋宜と共に、伸び代という点では非常に楽しみなチームの一つという印象を受けた。
(写真・文=當山 雅通)