試合レポート

中大附vs高輪

2022.09.03

徹底したバント攻勢で中大附が大量点を奪い、高輪にコールド勝ち

中大附vs高輪 | 高校野球ドットコム
5回に5点目のホームインをする中大附・長谷川

 <秋季東京都高校野球大会1次予選:中大附12-4高輪(7回コールド)>◇3日◇1回戦◇府中工グラウンド

 秋の新チームの場合、私学であっても、特に野球部を強化している部に比べて、そうではないようなところでは、3年生が引退して人数がギリギリの陣容で戦わなくてはならないというケースもある。この高輪中大附もそんな事情の学校で、高輪は11人、中大附は12人という状況だ。

 中大附は、かつては会場校にもなっていたし、男子バレーボール部や陸上競技部などは全国でも強豪としての位置づけがあった。まさに、“スポーツの中大”の付属校としての面目を果たしていた。しかし、学校の方針転換などもあって、入試レベルがグッと上昇していくことに反比例して運動部が非力になっていかざるを得なくなっている。

 この夏は、初戦で敗れてしまった中大附。それだけに、この秋は何とか初戦を突破したいところであろう。また、高輪も、夏は初戦こそ大勝したものの2戦目では立正大立正に完敗だっただけに、秋の新チームとしては、予選を突破して本大会へ進出したいところである。

 お互いに人数が少ないだけに、選手は複数ポジションをこなしていくことになるが、ことに投手は野手として守ることができることも大切だし、逆に野手で、ある程度投げられる選手も用意しておく必要がある。中大附は背番号4の大塚が先発して、1番をつけた田中が6番三塁手として先発出場した。5回途中から田中がマウンドに登って、大塚が内野に行くという形で動いたが、結果的にはこれが上手にハマった。

 中大附の佐藤天馬監督は、「大体この2人の継投で、やってきています。どちらが先に投げるということは決めてはいないのですが、今日はスピードのある田中を後ろで使ってウマく行った」と言うように、結果的には守りでは継投の成功ということになった。

 それ以上に見事だったのは、2対2の同点で迎えた4回以降の攻撃だった。4回は6番田中が死球で出ると、柴﨑、山内のバントが相次いで相手失策を呼んだ。そして9番大塚の内野安打と1番渡邉のスクイズで2点を奪う。3度のバントを試みていずれも成功した。

 さらに5回には先頭の4番長谷川が死球で出ると、続く藤高のバントは安打となる。さらに田中のバントも失策を招く。満塁で内野ゴロ失策で1点が入り、さらに満塁というところで、山内も巧みにスクイズを決める。なおも、渡邉、梅田と1、2番のバントがことごとく安打となっていく。1死満塁から3番亀岡が左犠飛を放つなどして、この回は5点を奪ったが、5本のバントを成功させている。

 さらに、6回にも大塚のスクイズを含めて3本の内野安打などで3点を追加した。長打は3回の4番長谷川の二塁打1本のみだったが、8本の内野安打が象徴するように、コツンと当てていく打球と、しっかりと転がすバントが極めて有効だった。

 佐藤監督も、「打てるチームではないですから、バント練習はよくやってきました。相手の守りの態勢を見て、隙間に転がすということも練習してきましたが、それが今日は見事に機能したと思います」と、いわゆるスモールベースボールに特化した形ではあっても、それでも何とかなっていくということを十分に示した。「OBや応援して下さる人も多いので、それにも応えていかなくてはいけない」と、中大附という伝統校を担っていく意識と責任も、選手たちにも伝えているという。

 高輪は、3回に1番相澤の2ランで先制したものの、その裏にすぐ追いつかれてしまった。4回以降は中大附の細かい野球に、守りも乱れるなどしていったのが悔やまれる。

(記事=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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