試合レポート

都立八王子北vs都立福生

2016.07.10

逆転につぐ、逆転! シーソーゲームを制したのは都立八王子北!

 1回戦を8回コールドで勝ち上がった都立八王子北と、この試合が今大会の初戦となる都立福生の一戦。

 1回表、都立八王子北は1番・関戸 健太(3年)が一二塁間を痛烈なライナーで破るヒットを放つと、このボールをライトが後ろへ大きく逸らし関戸は三塁へ。一死後、四球で歩いた3番・小林 美樹雄(3年)が二盗を決め、一死二三塁と都立福生の先発・佐々木 啓悟(3年)の立ち上がりを攻めると、4番・井上 雄太(3年)が右中間を深々と破る適時二塁打を放ち2点を先制する。

 都立福生も、1回裏に3番・萩田 晃之(2年)が左中間へソロホームランを放つと、2回裏は6番・中島 健太(3年)、7番上田 大佑(3年)の連打で一死一二塁のチャンス。しかし、ここは都立八王子北の先発・鈴木 陽太(3年)が8番・横地 樹(3年)をセカンドゴロに仕留め併殺で凌いでみせた。

 3回表、都立八王子北は2番・吉永 将大(2年)がセンターへライナーのヒットを放つと、今度はセンターがボールを後逸。初回と同じミスを繰り返してしまうと、3番・小林美がレフトへ犠牲フライを放ち1点を追加した。その後、中盤は両校の投手が踏ん張りを見せ、互いに0行進が続くが、終盤、一気に試合が動き出す。

 6回裏、都立福生は5回からマウンドに上がった形岡 朋弥(2年)から2番・伊藤 雅人(3年)がライト線へ二塁打。この日、本塁打と二塁打を放っている萩田は敬遠気味に歩かされ、4番・大島 秀規(2年)の一塁ゴロの間に走者がそれぞれ進塁し二死二三塁。ここで5番・山口 飛鳥(3年)が三遊間を抜くタイムリーで2者を迎え入れ、3対3の同点に追いついた。


 対する都立八王子北は7回表、関戸がライトオーバーの二塁打。犠打で三塁に進むと小林美がライト前へタイムリー。二盗後、さらに井上、髙村 翼(3年)の長短打でこの回3点。8回表にも相手エラーをきっかけに犠打と形岡の犠飛で1点を加え7対3とリードを広げた。

 8回裏、都立福生の攻撃は一死から1番・柳川 航汰(3年)がレフト前ヒット。伊藤が四球で一二塁の場面を作ると、打席に立ったのは強打者の萩田。前打席は勝負を避けた都立八王子北バッテリーだが、ここは勝負に出ると真っ直ぐで押す強気の投球で追い込み、最後はカーブでセンターフライに打ち取る。これで2アウトとなったが、都立福生はまだ粘る。大島が四球でつなぎ満塁とすると、山口が外角の真っ直ぐを逆らわずにライトへ。この打球が右翼手の頭上を越え、走者一掃の適時三塁打。さらに、押せ押せムードのなか、続く中島はレフトへ逆転2ランホームラン。土壇場で試合をひっくり返した。

 しかし、真のドラマはここからだった。9回表、都立八王子北はこの回先頭の吉永がヒットで出塁。バッテリーミスで二塁へ進むと、大島がレフト線へ同点適時二塁打。二死後、都立福生の佐々木は突然、ストライクが入らなくなり、2者連続ストレートの四球で二死満塁。8番の塚原 武斗(3年)にもカウント3ボール1ストライクとなり、ウェイティングも考えられるシチュエーションとなったが、積極的に打ちにいった塚原は右中間を真っ二つに破る適時三塁打を放ち11対8と勝ち越しに成功。9回裏は前の回からマウンドを引き継いでいた背番号1の山口 遼哉(3年)が三者凡退に抑え、シーソーゲームの幕を閉じた。

 9イニングを3投手のリレーで繋いだ都立八王子北に対し、都立福生はエースの佐々木にすべてを託したが、最後の最後にスタミナ切れ。しかし、足をつるなど体の不調を訴える選手が続出する暑さのなか、勝負を諦めない気迫のこもったプレーを両チームが見せてくれた素晴らしい一戦だった。

(文=大平 明

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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