試合レポート

仙台育英vs聖光学院

2012.10.10

仙台育英vs聖光学院 | 高校野球ドットコム

決めた東北王者!抱き合う仙台育英バッテリー

東北チャンピオンを懸けて

東北大会決勝。地元の聖光学院は全校応援、仙台育英は岐阜国体を制した3年生が全員応援に駆け付けた。
東北のチャンピオンを懸ける戦いは、仙台育英が序盤を優位に進めていった。

1回、2番菊名裕貴(2年)がセンター前ヒットで出ると、聖光学院の先発・佐藤翼(1年)の暴投で一気に三塁まで陥れた。直後に3番長谷川寛(2年)が犠牲フライを放ち1点を先制した仙台育英
3回には一死二塁から菊名がライト線を破る二塁打を放ち、1点を追加。ここで聖光学院の斎藤監督は、佐藤翼に代えてエースナンバーの石井成(1年)をマウンドに送った。
石井は残ったピンチを凌ぐと、次の4回は三者凡退に打ち取る。

だが5回、次の1点を奪ったのも仙台育英だった。3回と同じように先頭の9番馬場皐輔(2年)が四球で出塁すると、二死から3番長谷川が左中間を破るタイムリー三塁打。

聖光学院打線は、仙台育英の先発・馬場から、5回までで4安打を放ちながら、繋がらず得点ができない。

ジワリ、ジワリと広がる点差。

5回を終えてグランド整備が入る間、聖光学院ベンチはミーティングを開いた。前日の準決勝(盛岡大附戦)では、後半で追い上げて逆転している。一塁ベースコーチを務める伊藤颯主将(2年)を中心、それを再現できるだけの、ベンチの雰囲気作りはできていた。あとはいかにここぞという時の一本を打つか。

6回表、早くもその雰囲気が実る。先頭の4番園部聡(2年)がレフト前ヒットで出塁。続く5番西村大樹(2年)は、送ると見せかけて三塁線にバントヒットを決めた。6番佐藤昌平(2年)もセーフティーバントを仕掛ける。これはアウトとなるが、一死二、三塁とチャンスは広がった。

タイムを取る仙台育英内野陣。これを見ていた聖光学院の7番石垣光浩(1年)は、間髪入れずセンターへ弾き返した。犠牲フライとなり1点が入る。逆転へ向けての雰囲気は最高に出来ていたベンチ。
その裏を0で抑えた石井は、7回表の先頭打者で四球を選ぶ。一死となった後、連打で満塁となり、4番園部がセンターへ犠牲フライを放った。


仙台育英vs聖光学院 | 高校野球ドットコム

聖光学院 1年生エース・石井成投手

ところが、1点は入ったものの、二塁を狙った八百板飛馬(2年)がタッチアウトになってしまう。二死で同点、逆転にする可能性があったチャンスが潰えてチェンジとなってしまった。

ここが勝負の分岐点。

斎藤監督は、「走ってはいけない場面。ミスだった」と悔やみ、仙台育英上林誠知主将(2年)も、「聖光学院は準決勝で逆転勝ちしているチーム。(あそこは)大きかった」と話した。

8回裏、それまで耐えていた石井がついに仙台育英打線に捕まる。打者一巡、5本の長短打を浴びて5失点。結果的にゲームの大勢はここで決まった。

9回表、二死走者なしから四死球と連打で2点を返す。だが、最後は5番西村が三振に倒れてゲームが終わった。

「力の違いを見せつけられた」と唇を噛みしめた伊藤主将。ほとんどの選手が泣き崩れる中、「最後(閉会式)までしっかりやろう」とロッカールームから声が飛んだ。

「今年は負けが前提のチームで、正直この東北大会決勝まで来られるとは思っていなかった。その中で、石井にエースの自覚が出てきた。うれしく思います」とチームの成長を感じ取る斎藤監督。

7回の場面は、「今までウチはああいうミスが出ないチームで、それが相手に嫌がられる要因にもなっていた」と振り返った。
ただ、失敗をすることで選手はそれを糧として成長する。悔しさの中にも、課題という光が見えた試合だったのではないだろうか。

勝った仙台育英にしても前日の準決勝(酒田南戦)同様、最後の1イニングを守る難しさを味わった。来月の明治神宮大会、そして来年へ向けて追い求める課題ができたことは大きな財産だ。

春の選抜大会出場は有力ではあるが、まだ“決まってはいない”両チーム。(選考委員会は来年1月)

東北チャンピオンを懸けた決勝を戦ったという誇りを持って。まずは秋の戦いとチーム作りをしっかりと振り返って、来年へ向かってほしい。

            聖光学院(主将:伊藤颯) TEAM               仙台育英
守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名
酒谷 遼 1番 熊谷 敬宥
石野 佑太 2番 菊名 裕貴
八百板 飛馬 3番 長谷川 寛
園部 聡 4番 上林 誠知(主将)
西村 大樹 5番 水間 俊樹
佐藤 昌平 6番 小林 遼
石垣 光浩 7番 加藤 尚也
廣瀬 和光 8番 佐藤 聖也
佐藤 翼 9番 馬場 皐輔

(文・写真=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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