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あどけなかったロッテ佐々木朗希が「本物」になっていた

2021.09.11

あどけなかったロッテ佐々木朗希が「本物」になっていた | 高校野球ドットコム
佐々木 朗希(ロッテ)

 若い力が発揮されると、こんな試合になる。ロッテが楽天にサヨナラ勝ちした。パ・リーグの首位と3位。試合前まで2ゲーム差でロッテが首位に立っている。勝つか負けるか。どう転んでも大きく影響する。そんな試合で、「新戦力」が「大御所」に立ち向かった。

 ロッテ佐々木 朗希が初回から飛ばす。3回までに2点の援護をもらうと、4回まではパーフェクト。5回に初安打を許して内野ゴロの間に1点を失ったが、快投は続いた。6回、痛恨の同点弾を浴びるも、簡単には崩れなかった。

 たいしたものだ。相手のマウンドでは「絶対的エース」田中 将大が投げていた。楽天時代、24勝無敗でチームのリーグ優勝に貢献し、メジャーでも名門ヤンキースでエース格として活躍し、6年連続2ケタ勝利を達成している。田中が4回以降は、円熟味あふれる投球でロッテに追加点を許さなかった。ひしひしと感じる重圧。それでも、高校時代に163キロをマークしたことがある右腕は、逆にギアを上げた。

 7回から5者連続三振。150キロとフォーク、スライダーが切れた。プロ1軍公式戦で最速となる158キロをマークして、プロ最長イニングとなる8回2失点でマウンドを降りた。田中も同じ8回2失点で降板。結果は「ドロー」に終わったが、99球2安打9奪三振の内容は、田中の120球4安打7奪三振の上をいった。

 たがいに勝ち星はつかなかったが、9回裏にロッテのレアードにサヨナラアーチが飛び出した。佐々木朗もその瞬間、ベンチを飛び出した。まるで自分が勝ったかのようだった。

 佐々木朗のブルペン投球を初めて生で見たときの感動は忘れない。昨年春の宮崎キャンプでソフトバンクの取材をしていたが、練習試合の相手としてロッテナインがやってきた。あの佐々木朗がブルペン入りすると知った報道関係者だけでなく、ソフトバンク球団関係者、さらにはソフトバンクファンまでも、何事かとブルペンをのぞきにきたのだ。球場では1軍の練習試合が行われていたのだが…。

 大きく振り上げた左足の粘りがすごい。体重移動で体は捕手方向へ向かうとき、踏み出す左足がなかなかつかない。それもひざが内側に入っており、着地するまでは絶対に開かない。彼の160キロはここからくるんだと、自分勝手に思った。

 体はまだできていない。その時も、長身だが横がなく、大きな自分の荷物に加え、練習用の道具を背負ってサブグラウンドまで歩いていた姿は、どこか弱々しかった。隣の選手と談笑する表情には高校生の名残は残っていたが、あれから1年半。コロナ禍もあっただろうが、体力が増大した結果が、この日につながっている。

 間違いなく、次世代のスターになる。田中との投げ合いは今後もあるだろうし、次は勝つと信じている。まだ19歳。期待はふくらむばかりだ。

(記事=浦田 由紀夫)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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