試合レポート

八戸学院光星vs明石商

2018.08.11

八戸学院光星が粘る明石商を振り切り、延長戦までもつれた打撃戦を制す!

八戸学院光星vs明石商 | 高校野球ドットコム

 第100回全国高校野球選手権大会の7日目。第2試合は2年前の春センバツは8強で夏の甲子園は初出場となる明石商(西兵庫)と、光星学院時代に11年夏から12年夏にかけて3季連続で準優勝し、今大会は2年ぶり9回目の出場となる八戸学院光星(青森)が対戦した。

 西兵庫大会では全6試合で相手チームを3失点以内に抑え接戦を勝ち上がってきた明石商と、青森大会ではチーム打率.410を記録し、5試合で46得点を挙げた強力打線を誇る八戸学院光星の一戦。

 明石商は先発のマウンドに背番号3の左腕・加田 悠真(3年)を送ったが、いきなり八戸学院光星打線が襲いかかる。1回表、1番の近藤 俊太(3年)がセンター前ヒットで出塁すると、バントと内野ゴロで三進。ここで4番・東 健太郎(3年)がインハイに浮いてきたチェンジアップを強振し、ライトへ2ランホームラン。青森大会では5試合すべて初回に得点を挙げてきた八戸学院光星が、甲子園でも幸先良く先制に成功した。

 その裏、明石商は先頭の来田 涼斗(1年)がサードを強襲するヒットを放つと、バントと田渕 翔(3年)のヒットで一三塁と八戸学院光星の先発・福山 優希(3年)を攻め立てる。次打者の4番・右田 治信(3年)はフルカウントから空振り三振に倒れるが、この時、スタートを切った一塁走者が塁間でストップ。挟殺プレーの間に三塁走者がホームを陥れ(記録は重盗)、1点を返した。

 その後は激しい点の取り合い。八戸学院光星は2回表、秋山 龍正(3年)の二塁打と四球などで加田をノックアウトすると、代わった福谷航太(3年)から近藤、武岡 龍世(2年)がタイムリー。エラーを挟んで東もレフトへ適時打を放って、この回4点。4回表には再び武岡がセンターへタイムリーを放って7対1とリードを広げた。

 しかし、明石商も猛烈に追い上げる。4回裏、エラーと植田 貴紗羅(3年)のヒットに好走塁もあって一死二三塁とし、内野ゴロの間に1点を返すと、福谷はインコースの真っすぐを鋭く振り抜き一二塁間を破るタイムリー。なおも四球とヒットで満塁とすると、田渕は低めの真っすぐをピッチャー返し。これがセンターへの2点適時打となって2点差に詰め寄った。

 中盤から終盤にかけても激しい応酬が続く。八戸学院光星は5回表、東が外寄りのストレートを左中間スタンドへ運ぶ、この試合2本目のホームランを放てば、明石商は7回裏。八戸学院光星の2番手、左腕の成田 太一(3年)を攻め、四球とヒットの走者を犠打で送って一死二三塁。ここで6番・植本 亮太(3年)の打球はセカンド後方へのフライとなったが野手の間にポトリと落ちるラッキーなタイムリーヒット。すると続く植田もセンター前へ適時打。続く8番・山本 健太朗(3年)は1ボールからの2球目にスクイズを決めて、ついに8対8の同点に追いついた。8回は共にチャンスを作ったが、明石商中森 俊介(1年)。八戸学院光星中村 優惟(3年)と共に3番手の投手が踏ん張り、試合は延長戦へ。

 そして10回表、八戸学院光星は一死から四死球2つで一二塁。二死後、打席にピッチャーの中村が入ると2ボール2ストライクから高めに浮いてきたスライダーを引っ張り、三遊間を破るヒット。二塁走者は三塁で止まっていたが、レフトがボールをファンブルしている間にホームへ滑り込み勝ち越し。その裏は中村が低めに変化球を集めて内野ゴロ3つに打ち取りゲームセット。八戸学院光星が9対8で明石商を振り切り、両チーム合わせて27安打が飛び交った打撃戦を制した。

 八戸学院光星は持ち前の打力が火を噴き14安打で9得点。福山、成田の両投手には不安が残ったが、2本塁打を放った主砲・東や4安打3得点のトップバッター・近藤らが実力を遺憾なく発揮し、最後は中村が攻守の両面でヒーローとなった。

 明石商は一時、6点差を付けられたものの諦めることなく延長戦まで持ち込んでみせたが、8、9回の好機をつぶしたのが痛かった。守備ではショート・田渕が軽快な動きを見せ、走塁でも重盗を決めるなど試合巧者ぶりを感じさせたが、最後の最後で四死球と小さなミスが重なり涙を呑んだ。それでも、見事な粘りを見せた明石商には拍手を送りたい。

 今大会の1回戦、最後の試合を勝ち上がった八戸学院光星。2回戦は大会11日目の第4試合で甲子園春夏通算100勝目を挙げた龍谷大平安(京都)と対戦する。

(記事=文:大平 明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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