試合レポート

大阪桐蔭vs太成学院大高

2012.09.18

大阪桐蔭vs太成学院大高 | 高校野球ドットコム

森友哉主将(大阪桐蔭)

役割

大阪桐蔭が7回コールドゲームで快勝。3回戦に進出した。

1回表、先発の網本光佑(2年)がいきなりヒットを浴び、犠打で二塁に進められた。
だが、3番と4番を連続三振に切り、ピンチを凌ぐ。

その裏、一死から3連続四死球で満塁とすると、5番福森大翔、6番田村斗紀、7番笠松悠哉(いずれも2年)がタイムリーを続け4点を奪った。さらに、8番水谷友生也(2年)の犠牲フライでもう1点。
計5点となり、結果的に勝負の決着がついた。

投手陣は網本が4回を投げて1失点、二番手の葛川知哉(2年)が2回、三番手の原田洋彰(2年)が最後の1回を投げて無失点だった。
ただ、「投手陣はまだまだ。(8安打8点の)打撃も、ここ一番で打てるかなど課題は多い」と西谷浩一監督は顔を引き締めた。

指揮官は打順についてもコメントした。
この日は、田村が7番から6番に上がり、初戦でスタメンを外れていた笠松が7番に入った。それ以外は大きな変更がなかったのだが、「打順はまだ固まっていない」と西谷監督は話す。ただし、「森(友哉=2年)はこのまま3番で行こうかなと思っています」とも付け加えた。

森友がどの打順を任されるのか。それはチーム内にとっても、相手チームにとっても大きな影響を与える。
この試合で言えば、初回の攻撃にそれが表れていた。

1番の辻田大樹(2年)打ち取った太成学院大高の先発・冨士宏行(2年)。ところが2番峯本匠(1年)にストレートの四球を与えた。直後に3番森友、4番近田拓矢(2年)と並ぶ。この二人を見れば、守備側の心理としては走者を出して向かえたくないのだろう。
相手チームの影響はこういった部分に垣間見える。

逆に大阪桐蔭陣営にとっては、森友に走者を還す役割を担ってもらいたいという意図が見える。西谷監督は、「下級生の時は、1番で思い切ってやってもらいたいという考えでした」と話した。
近田、笠松、水谷と甲子園経験者はいるものの、やはり森友が引っ張ってこそチームが生きるのが今の形なのだろう。
主将である森友自身も、「1番では(塁に出るという)プレッシャーがあったが、今は3番の方が良い。自分で決めてやろうという感じです」と話した。

日本代表にいた二週間前と、顔つきがガラッと変わっている。それは下級生時とは違う自分自身の“役割”をしっかりと認識しているようでもあった。


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竹内健悟(太成学院大高)

一方で敗れた太成学院大高の仲辻宏之監督は、「初回の5点が全てだが、今のウチのチームではあれがいっぱい、いっぱいでした」と振り返った。
ただ、「よく粘ったと思います。夏場の練習の成果は出た試合でした」とも付け加えた。

先発した冨士と、二番手の左腕・近藤龍平(2年)は夏の大会でもマウンドに上がった経験者。
この二人でゲームを作って接戦に持ち込めれば良かったのだが、冨士の立ち上がりがやはり誤算だった。

それでも中盤になるにしたがって、代わった投手陣が大阪桐蔭打線から快音を少なくさせた。
起用された投手は6人。投手陣を指導する石田寿也部長は、3日前にサイドハンドで投手の練習を始めたという竹内健悟(1年)などあの手この手で対策を練っていた。
その策は当たっていたが、「できれば9回までやりたかったです」と悔しさを見せた。

昨秋、今春はベスト8に残るなど近年の躍進が目ざましい太成学院大高
今回は初戦敗退で長い冬になってしまったが、1年生が4人スタメンに並ぶ若いチーム。多くの観衆で埋まった中での大阪桐蔭戦は、自信に繋げられる部分もあるだろう。
期待が高い選手も多いそうで、敗れたという悔しさをバネに冬をどう過ごすか。そして春にどんなチームに成長しているか。楽しみに待ちたい。

        太成学院大高(主将:大藤優) TEAM              
大阪桐蔭
守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名
竹内健悟 1番 辻田大樹
甲川仁揮 2番 峯本匠
須山優 3番 森友哉(主将)
松元優弥 4番 近田拓矢
福丸和博 5番 福森大翔
橋田航 6番 田村斗紀
青木文秀 7番 笠松悠哉
西森雄飛 8番 水谷友生也
冨士宏行 9番 網本光佑

(文・写真=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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