真和志vs普天間
ミスターゼロの本領発揮!譜久村誠悟が力で普天間をねじ伏せた
去った春季県大会で準優勝に終わった真和志。その主戦譜久村誠悟の成績を振り返ってみよう。
6試合52回1/3イニング27被安打29奪三振4与四死球3自責点
防御率0.51被安打率4.65
奪三振率4.99与四死球率0.69
52イニングを投げて失点を喫したイニングは僅かに4(自責点3)。防御率換算の単純計算では2試合で1失点だ。2013年度の旗手であるミスターゼロ、それが譜久村誠悟だ。その不沈艦に挑むのは初戦で9得点を奪った普天間。初回仲村渠永人(なかんだかり・ひさと)のレフト前ヒットが出るが、次打者が三振。さらに一塁走者が挟まれ併殺に終わる。しかし3回にも先頭の川村大地が同じくレフト前へ運び犠打で得点圏へ進めるが、三振に倒れるなどあと一本が出ない。とはいえ結果こそゼロだったが、得点となっていても不思議ではないほど、譜久村の立ち上がりは不安といえば不安であった。
対する真和志は1回裏、東大貴がライト前ヒットで出塁し盗塁で無死二塁とチャンスを作るが、180cm78kgと体躯の良い普天間・与那嶺敬の前に投ゴロ、三振、レフトフライと後続が斬られる。続く2回にも先頭の譜久村がライトへ二塁打を放ったが、三振、センターフライ、ショートゴロで三塁へ進むことが出来なかった。強攻策で一気に飲み込みたいところだったが、そう簡単にいかないのが夏でもある。両エースの意地の踏ん張りで過ぎていった序盤、といった展開だった。
連打が期待出来ない好投手でも何とか得点する粘りを見せた
試合が動いたのは4回。真和志は呉屋正之介がショートへの内野安打で出塁。だが4番を迎えて慎重になり過ぎたのだろうか。マウンドの与那嶺は四球を与えてしまう。これは痛かった。初回に長打を放っている譜久村と言えど、この暑さの中ではどこのチームもエースに打席が回ってきて、犠打が出来る場面ならさせたいはず。真和志にとってはその良い流れが労せずしてやってきたのだ。キッチリと送り一死ニ・三塁とすると、真和志ベンチはその流れに乗るように且つ、相手バッテリーに考えさせる間を与えさせず、初球スクイズを決める。強攻策で失敗した序盤に対し、電光石火の小技であっという間に1点を奪った。さらに6回、呉屋が今度はセンターへ大きな当たり。打球が転がる間に俊足を飛ばして三塁を蹴り一気に生還。与那嶺にこれ以上ない痛烈なパンチを浴びせると、砂邊大州、譜久村にも連続安打が出、古謝佑弥の四球で無死満塁とした。ここで下位打線だったが、セカンドへのゴロで三塁走者が還ると、さらにセカンドゴロでもう一人もホームイン。綺麗な得点では無かっただろうが、逆に転がす技術と意識、そして足を生かした、言ってみれば泥臭い攻撃というものを見せられては、やはり真和志は強いと思う他はなかった。
[page_break:脳裏をよぎるあの場面。それでも力でねじ伏せた]脳裏をよぎるあの場面。それでも力でねじ伏せた
4~6回まで三者凡退の普天間だったが、終盤8回、制球の良い譜久村にしては珍しく、先頭打者に死球を与えると次打者の投前ゴロに反応し二塁へ送球。だが一塁走者の足が速くフィルダースチョイス。そして犠打で一死ニ・三塁とこれ以上ない形で見せ場を作った。スクイズでは真和志を楽にさせるだけの普天間は木村伊織に託す。だが打球は無常にもピッチャーフライ。しかし、オレが捕る!と制した譜久村自身がグラブに当てながら落としてしまう。ため息が一瞬にして大歓声となる普天間スタンド。そこにいた殆どの者の脳裏をよぎったのが、春の決勝戦だった。そう、ニ死三塁から同じようなピッチャーフライを二人がお見合いするような形になり、珍しいタイムリー内野安打となったあの場面だ。だからこそ譜久村も、今度はオレが捕るというジェスチャーを見せたのだったが。。。でもあのときと違うのはワンアウトだったこともあり、三塁走者がベースに釘付けだったこと。満塁となりはしたが、結果的に失点したわけではなかったこと、さらに併殺が取れやすくなったことも含まれたかも知れない。それが幸いし、逆に打者だけへ専念することが出来た。打たれる気がしない!そう言わんばかりの気迫のピッチングで三振を奪うと、ショートライナーで得点を許さなかった。最終回、最後の打席には北谷ボーイズ時代の盟友でもある神山廉太郎が打席に立つが、真っ向勝負のストレートで9つ目の三振と9つ目のゼロをボードに刻んだエースが、母校を三回戦へと進めた。
序盤の3イニングで46球を要した譜久村だったが、中盤は36球、終盤の3イニングは32球と尻上がりに本来の姿を取り戻すところに、彼の強さを垣間見る。これでこの夏は18イニングで12奪三振、1死球、1自責点。防御率を、まるで指定席の如く0.50へと戻したミスターゼロの視線はもちろん優勝、そして憧れの聖地だ。
(文=當山雅通)
普天間 | TEAM | 真和志 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
遊撃 | 伊波謙吾 | 1番 | 中堅 | 東 大貴 |
一塁 | 仲村渠永人 | 2番 | 二塁 | 比嘉辰樹 |
右翼 | 眞榮城敬一 | 3番 | 右翼 | 呉屋正之介 |
三塁 | 川村大地 | 4番 | 左翼 | 砂邊大州 |
三塁 | 島袋聖也 | 5番 | 投手 | 譜久村誠悟 |
左翼 | 高良建也 | 6番 | 一塁 | 古謝佑弥 |
捕手 | 砂川優樹 | 7番 | 三塁 | 松川義孝 |
投手 | 与那嶺 敬 | 8番 | 捕手 | 佐喜眞拓哉 |
二塁 | 木村伊織 | 9番 | 遊撃 | 津波拓海 |