試合レポート

日体大荏原vs修徳

2022.04.10

修徳にサヨナラ勝ちの日体大荏原 2年生コンビの活躍光る

日体大荏原vs修徳 | 高校野球ドットコム
サヨナラの瞬間

<春季東京都高校野球大会:日体大荏原5-4修徳>◇10日◇4回戦◇駒沢

 日体大荏原修徳による東東京勢同士の一戦は、9回に修徳4番・佐藤 大空外野手(3年)の犠牲フライなど、3対4で日体大荏原が1点ビハインドで9回裏を迎えた。

 簡単に2死になり土俵際に追い込まれたが、1番・石崎 祥真外野手(3年)の四球で流れが変わった。
 2番・和田 麗哉内野手(3年)がヒットで繋いで2死一、二塁とし、3番・千葉 輝夏内野手(2年)が3ボール1ストライクから左中間に運ぶサヨナラ打。劇的な勝利で日体大荏原が8強入りを決めた。

 9回2死から打線がつながってサヨナラ勝ちをつかんだ日体大荏原。本橋監督も「粘り強く戦ってくれた」と試合後に選手たちへ改めて労いの言葉を送った。

 そのなかでも特に活躍が光ったのは2人の2年生だった。
 サヨナラ打を放った千葉は、この試合で4安打2打点と大暴れ。本橋監督も「思い切りの良さが持ち味です」という打撃で、3番打者として主砲につなぐ役割を十分に果たした。

 サヨナラの場面は「恩返しの意味でも、先輩が作ってくれたチャンスを自分で決めてやる」と考えていたそうだが、普段は「4番につなぐことが役割なので、単打でも四球でもつなぐことを常に考えています」と話す。166センチ、66キロと小柄だが、全身を使ったスイングで、最後は見事に左中間を深々と破って見せた。

 そんな千葉が「完璧でした」と話せば、本橋監督は「成長してきたと思います」と好評するのがもう1人の2年生で、先発した石井 祥太投手(2年)だ。
「威力があって、変化球も良かった」と修徳の主将・深澤 大吾内野手(3年)が話すように、179センチ、67キロとまだ細身ではあるが、角度を付けた真っすぐと緩い変化球を織り交ぜて、9回途中までしっかりとゲームを作った。

 強打の修徳相手にこれだけのゲームメイクができたことは、今後の自信になるだろう。ただ本橋監督いわく、これだけの投球ができるようになったは、最近だと話す。
「直球の制球力はいいですが、変化球に課題があって春先まではカウントを悪くすることが多く、長くても5回まででした。しかし、変化球もしっかり決まるようになってきたので、今日もいけるところまでは石井に託すつもりでした」

 この日は9回途中まで投げて打者37人に130球で四死球は4つと、テンポよく制球力のあるピッチングで試合を作ったといっていい。

 同級生の千葉は「冬場から、『俺たちの代からはエースになるんだぞ』と発破をかけてきましたが、それで食事など取り組みが変わってきていました」と話しており、冬からの小さな積み重ねで、ここまで来ていることがわかった。

 準々決勝でも下級生が活躍し、3年生とともにさらなる上位進出となるか。

[page_break:修徳の注目スラッガー・佐藤大空、2打点も課題残す内容に]

修徳の注目スラッガー・佐藤大空、2打点も課題残す内容に

日体大荏原vs修徳 | 高校野球ドットコム
修徳4番・佐藤大空

<春季東京都高校野球大会:日体大荏原5-4修徳>◇10日◇4回戦◇駒沢

 第4シードで迎えた修徳はアウトあと1つから日体大荏原に敗れ、ベスト16で春を終えることになった。

 試合後、荒井監督は「序盤にちぐはぐした戦い方をしてしまい、難しい試合にしてしまった」と総括。そのうえで、バントの失敗やチャンスの場面で点数を奪えなかったことについて、「普段の練習への取り組みの甘さが出たんだと思います」と厳しい言葉を並べた。

 主将・深澤 大吾内野手(3年)も「大会期間中も、野球以外の面で課題があったので、必然だったかもしれません」とサヨナラ負けの悔しさを押し殺しつつ、荒井監督と同様に真摯に敗戦を受け止めていた。

 事実、最終回も得点は入ったもののバントを失敗しており、試合通じてだと手元の記録でも3回ある。これではなかなか攻撃のリズムができない。
 加えて中軸がチャンスでの凡退が痛く、注目スラッガー・佐藤 大空外野手(3年)は4打数2安打2打点と結果は出ているが、内容はあまり良くなかった。

 ヒット2本のうち、初回の第1打席に出たヒットは打ち損じて内野と外野の間へのポテンヒット。8回の4打席目こそ三塁線への痛烈な打球で二塁打にしたものの、残りの3打席は緩急でタイミングを崩された三振、そして詰まった当たりの二飛とライトへの犠牲フライだった。

 対戦した日体大荏原石井 祥太投手(2年)は決して剛速球ではない。強烈なフルスイングで快音を響かせる佐藤にとって難敵ではないと思われたが、自分のバッティングをさせてもらえなかった。

 改めて振り返ったが、トップからグリップが一度下がっているように見える。内角の球に対して窮屈に見逃していることがあり、こうしたところから素直にバットが出せなかったのではないかと考えられる。

 大きなトップから豪快なスイングでこれまで快音を響かせてきた佐藤だが、その分、差し込まれやすくなるなど、リスクはやはり大きい。夏までにどういったところを修正してくるのか。東東京を代表するスラッガーの今後の成長を期待したい。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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