試合レポート

近江vs立命館守山

2021.07.29

近江が3大会連続の夏甲子園を決める

 近江立命館守山を下して、3大会連続15回目の夏の甲子園出場を決めた。

 近江の先発は背番号8の山田 陽翔(2年)。立ち上がりからストレートと大きく曲がるスライダーが冴え、三者凡退と上々の立ち上がりを見せる。対する立命館守山のエース・北村 怜士(3年)も「今大会で立ち上がりは一番良かった」とスピンの効いたストレートを軸に近江打線を封じた。

 両投手が好投を見せ、3回までともに無安打。膠着状態が続いたが、4回裏に試合が動く。近江は一死から連続死球で一、二塁とすると、5番・新野 翔大(3年)がライトオーバーの適時二塁打を放ち、近江が先制。中継プレーが乱れる間に一塁走者も生還し、2点が入った。さらに続く6番・津田 基(2年)がライト線に適時二塁打を放ち、1点を追加。ワンチャンスをものにした近江が一気に試合の流れを掴んだ。

 近江は5回裏にも二死二塁から春山 陽生(3年)の適時二塁打で1点を追加。6回裏にも2点を加え、北村をマウンドから引きずり降ろした。

 山田は6回を投げ、1安打無失点の好投。7回からは満を持して背番号1の岩佐 直哉(3年)がマウンドに上がり、必勝態勢に入った。岩佐も最速148キロの実力を存分に披露。威力のあるストレートを武器に立命館守山打線を封じた。

 9回表は先頭打者に安打を許したが、後続を打ち取り、最後はレフトフライでゲームセット。優勝を決めた選手たちはマウンドで歓喜の輪を作った。

 この世代の近江は苦しんだ1年だった。秋は決勝で滋賀学園に敗れ、県内公式戦連勝記録が34でストップ。春は3回戦で立命館守山に逆転負けを喫し、夏はノーシードからのスタートだった。一度はどん底を味わった選手たちだったが、主将の春山を中心にまとまりのあるチームを作り上げ、夏には別人のような強さを兼ね備えたチームになっていた。

「1試合ごとに凄みを増していってくれたと思います。まだまだ進化できるチームだと思うので、また甲子園で成長していく彼らを見守りたいです」と甲子園での期待を込めた多賀章仁監督。山田、岩佐らを擁する投手陣は全国屈指だろう。下級生にも力のある選手が多く、聖地での大暴れに期待したい。

 敗れた立命館守山は4試合で42得点と好調だった打線が2安打無得点と完全に抑え込まれた。初の甲子園には届かなかったが、この2年間で3度の準優勝、2度の近畿大会出場と立派な成績を残したと言えるだろう。「3年生が残してくれた功績は多いと思います。1、2年生には先輩をすぐに超えてほしいと思います」と話した秋武祥仁監督。先輩たちの悔し涙を見た1、2年生が新たな歴史を作るだろうか。

(文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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