試合レポート

新発田農vs新潟産大附

2015.07.20

集中打で一挙5点!新発田農業、7回コールドでベスト16進出

 県内4球場で8試合が開催された3回戦2日目。[stadium]長岡市悠久山野球場[/stadium]の第1試合には、ベスト8の新発田農業が登場。新潟産大附属を相手に打線が爆発した。

 新発田農業の先発は、エース・西山(3年)とともに、チームをけん引してきた左腕の五十嵐智(3年)。五十嵐智は、初回を三者凡退に抑えると、テンポの良いピッチングで新潟産大附属打線を抑える。援護したい打線は、初回に3本のヒットで二死満塁のチャンスを作るが、新潟産大附属先発の輿口(3年)に後続を打ち取られ、無得点。

 試合が動いたのは、4回裏。新発田農業はヒットとエラー、四球で一死満塁のチャンスを作ると、8番・五十嵐智がショートの頭を越える2点タイムリーを放ち2点を先制。二死になった後も1番・渡辺(3年)のタイムリー、2番・阿部の2点タイムリーツーベースで3点を追加し、5対0。産大付属・輿口をノックアウトする。

 新発田農業は5回にも、新潟産大附属・2番手の柳(1年)を攻め、7番・高橋(3年)のタイムリーで1点をを追加。6回にも、キャプテンの3番・伊藤(3年)がライト線を痛烈に破るタイムリーツーベースを放ち、0対7。

 投げては、五十嵐智-遠藤(3年)の左腕リレーで、新潟産大附属打線を0点に抑え、ゲームセット。0対7で新発田農業がベスト16へ駒を進めた。


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第97回全国高等学校野球選手権大会

エキサイティングチーム 新発田農業

 新発田農業・近監督は、感情を表に出すタイプの監督だ。良いプレーをした選手は全力で讃え、まずいプレーをした選手がベンチに戻ると、大きな声でそのプレーに対して怒る。そんな監督が率いてきたからこそ今日の勝利は生まれたのかもしれない。

 最大のハイライトは、4回表の新潟産大附属の攻撃。先頭の3番・輿口がスリーベースで出塁し、無死三塁。先制点のチャンスを迎える。一死後、5番・北原(3年)の放った打球は、ライナーで三遊間を痛烈に襲ったが、ショート・伊藤が横っ飛びで好捕。後続も抑え、先取点を許さなかった。チェンジになるとダッシュで戻る伊藤を誰よりも大きな声で拍手をしながら出迎え、讃えた。すると、試合の空気が新発田農業に傾いた。

 その裏一死満塁のチャンスを迎える。バッターボックスには先発の五十嵐智。すると近監督はサインを出した上で、ベンチから大きな声でこう声を掛けた。
「五十嵐、空振り三振でいいから中途半端にバットに当てに行くな!」
観客も驚くほど大きな声で出す指示に、五十嵐智も気が楽になったのだろう。バットを振りぬき、打球はレフト前へ転がった。自らのバットで先制点を上げたことが、その後の投球にも良い影響をもたらし、6回、被安打3、無失点の好投につながったのだろう。

 高校野球は流れがものをいう競技だ。実力校と言われても、ゲームの流れを上手くつかめなければ、格下と見られていたチームに足元をすくわれることも多い。勝負の世界に「たられば」は禁物だが、もしあの場面で先制点が新潟産大附属に入っていたら、試合はどちらに転んでいたかわからない。流れに乗じて選手を奮起させ、勝負どころで選手の能力を引き出すアドバイスを送る。ある意味、戦術や采配以上に大切なことができたからこそ、勝利をつかめたのだろう。
この後の試合でも、グラウンドの選手だけでなく、新発田農業のベンチにも注目してみたい。

(文=町井敬史


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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