高松工芸vs三木
三木、敗戦の中に見た潜在能力の片鱗
右翼線逆転三塁打の高松工芸5番・鎌倉 匠汰(捕手・3年)
高松市の東に位置する香川県木田郡三木町。阪急ブレーブスなどでパンチ力あふれる左打者として活躍し、現在・阪神タイガースのスカウトを務める熊野 輝光氏(志度商<志度>~中央大~日本楽器<現:ヤマハ>)や、現在日本人で最も世界バスケットの最高峰・NBAに近い選手とされるオールラウンドプレーヤー・渡辺 雄太(高松市立牟礼中~尽誠学園高~現:NCAA1部ジョージ・ワシントン大)ら、過去から現在に至るまで運動能力長けた選手を生み出す町として知られる。ちなみに英明から2011年ドラフト1位で巨人に入団した左腕・松本 竜也も三木町出身、三木中卒業生である。
そのせいか、三木町にある唯一の高校である香川三木にも個人能力が高い選手が集う。2年前の夏にエース・六車 謙太(現:京都教育大2年)が右サイドから最速140キロを叩き出し、周囲を騒然とさせたことは記憶に新しいところだ。
今チームでもそのDNAは引き継がれている。さぬき市立大川第一中で六車の2年後輩にあたる4番・後藤 由祐(3年・三塁手兼投手・右投右打・172センチ65キロ)は6回から2番手マウンドに上がると最速137キロをはじめ常時130キロ台をマーク。3番・井内 聖人(3年・遊撃手・右投右打・173センチ60キロ・さぬき市立長尾中出身)は迷いなきスイングで3打席連続安打。「一歩目が速い」と山田 裕次監督が評する2年生リードオフマン・三好 涼斗(右翼手兼捕手・右投左打・さぬき市立津田中出身)も、軽々とバント安打2本を決めてみせている。
試合は5回表、大会前にあった大手前高松との練習試合でも打棒が好調だった高松工芸の集中打を止められず初戦敗退となったが、彼らが見せた潜在能力の片鱗は夏の開花を十分予感させるものであった。
(文=寺下 友徳)