試合レポート

日本学園vs岩倉

2021.04.08

日本学園、延長11回タイブレークの熱戦で岩倉を下す!明暗を分けた10回の攻防

日本学園vs岩倉 | 高校野球ドットコム
日本学園先発・浅井颯斗

 1回戦で春夏の甲子園で優勝3回の帝京を破った日本学園が、2回戦でセンバツ優勝経験のある岩倉と対戦した。日本学園にとっての試合の焦点は、帝京戦で完投した浅井颯斗のスタミナがどこまで持つかであった。

 身長171センチ、体重60キロと細身の浅井は、帝京との対戦が決まった時、緩急をつけることが、球速以上に重要だと考えた。その考え方が岩倉にも通じ、5回まで1本の安打も許さぬ好投をみせる。浅井は秋に比べ、体力面もかなり成長した印象を受けた。

 攻撃面では2回表に伊藤樹の三塁打などで日本学園が1点先制すると、4回には相手のミスもあって2点、5回にはクリーンアップトリオの連打などで2点を挙げ、完全に日本学園ペースであった。

 ところが6回裏この回先頭の岩倉の2番・奥野未夢のレフトへの打球、守備側に厳しくジャッジすればエラーとなるような打球であったが、二塁打となり、流れが変わる。奥野は三盗と内野ゴロの間に1点を返す。

 このあたりから、日本学園の浅井の球威がはっきりと落ちだした。帝京を破った試合から中2日の登板。疲れるのも仕方ない。7回裏岩倉は、奥野の三塁打などで一挙5点を挙げ、試合をひっくり返す。

 岩倉の反撃ムードを作った要因に、5回表の途中から、二塁手からマウンドに上がった主将の高畠雅裕の好投が挙げられる。高畠は、「入った時からピッチャーをやったらよくなる」と、豊田浩之監督が投手としての素質を感じていたものの、本格的に投手の練習を始めたのは3月から。それでも高畠が「普段から遊びながら覚えました」という、スライダー、ツーシーム、チェンジアップなどを効果的に使い、日本学園に追加点を許さなかった。

 日本学園も8回裏から公式戦初登板という山田将大を投入。この回を無失点で抑え、9回表日本学園の攻撃を迎える。この回の攻撃が始まる前に、交代した浅井が、「もう1回俺を投げさせてくれ」と涙ながらに訴えた。

 しかしあっさり二死となり、岩倉の勝利は目前であったが、ここから3番・木村佳暉が右前安打で出塁すると、4番・澤田夕輝も中前安打で続き、5番・長沼海音の右中間を破る二塁打で1点が入り、日本学園が同点に追いついた。

 試合はそのまま延長10回からは、無死一、二塁から始まるタイブレークに突入した。9回に上位打線で追いついた日本学園は、7番・伊藤という下位打線から。対する岩倉は当たっている2番・奥野からという好打順で始まる。

 10回表、日本学園は得点できずに終わる。岩倉は上位打線で1点を取ればいい。圧倒的に有利な状況だ。2番・奥野は二塁打、三塁打を打ち当たっているが、ここは当然バントのケースだ。奥野はファールが続いた後、強打に切り替わる。「(日本学園の)一塁手がチャージをしていたので……」と豊田監督は語る。しかし奥野は右飛に終わる。後続も打ち取られ、岩倉は2番から始まるこの回に得点できなかった。

 11回日本学園の攻撃は、1番・木下剛から。木下の内野安打で満塁となると、連続死球による押し出しで2点。さらに4番・澤田が中前安打を放ち2人が還り、勝負を決めた。

 その裏岩倉は1点を返したものの、反撃もここまで。日本学園が勝利し、3回戦進出を決めた。

 試合後岩倉の豊田監督は、「10回はバントでいくべきでした。それでも、日本学園の方が上だったと思います」と語る。

 帝京に次ぎ、岩倉も破った日本学園は、3回戦は関東一と対戦する。実力的には関東一が上回っているが、日本学園は試合をするごとに強くなっており、好ゲームを期待したい。

(記事:大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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