扁平足とパフォーマンス
足裏のアーチが崩れると扁平足になりやすい
皆さんは「扁平足(へんぺいそく)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。私たちの足裏は土踏まずと呼ばれる「地面につかない部分」が存在するのですが、この地面につかない部分が何らかの原因で消失し、足裏全体が地面につくような状態を扁平足と言います。
足裏には親指側、小指側にそれぞれ縦アーチと呼ばれる構造があり、さらに親指から小指にかけても横アーチが存在します。この3つのアーチによって土踏まずは形成されるのですが、このようなアーチ構造はバネのスプリングのような役割を持ち、荷重による衝撃を和らげることに貢献しています。私たちは左右の足裏が地面に接することで体を支えていますが、これが片足で立つ場合、歩く時、ランニングやジャンプをする時など動作の違いによってより大きな負荷がかかるようになります。
扁平足をもたらす要因としては足裏のアーチを形づくる筋肉や腱、靱帯などが激しい運動や疲労などによって弱化し、アーチを保てなくなることが挙げられます。親指側のアーチ(内側アーチ)を維持するための後脛骨筋の機能が低下することも大きな要因と考えられます。扁平足では荷重ストレスがよりダイレクトに足関節をはじめ、膝関節、腰椎などの荷重関節にかかります。運動量が多くなったり、アスファルトや人工芝など路面の硬いところでランニングやジャンプ動作を繰り返したりしたときは、通常よりもケガのリスクが高くなることが想定されます。
足裏アーチを維持し、扁平足の状態を改善するためには足指を使ったタオルギャザー等のエクササイズや後脛骨筋を含む下腿の筋力強化などを行うようにします。またテニスボールや100円ショップなどで購入できる青竹踏みなどを使い、硬くなった足裏の筋肉をほぐすことも良いでしょう。この他にも普段練習で使用しているスパイクやランニングシューズの足底を確認し、摩耗が激しい場合はクッション性のよいものに買い換える等、扁平足による疲労やケガを予防することが大切です。
文:西村 典子
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