技術練習とトレーニングの両立
シーズン中でもトレーニングを継続することには大きなメリットがある
以前はオフシーズンを中心に行われることが多かった体力強化のためのトレーニングですが、最近ではシーズンに入ってからも継続的に行うチームが見られるようになってきました。トレーニングの内容や頻度・量などの変化はありますが、年間通してトレーニングを実施することは競技力向上だけではなく、ケガの予防という点からもメリットが大きいことが明らかとなってきたからです。またこうした専門的な知識を要するトレーニングコーチ、トレーナーの存在がより身近になってきたこともその一因ではないでしょうか。
トレーニングプログラムは時期とともに変化するのが一般的です。野球の場合は目標とする試合に向けて、体を大きくし、筋力やパワーを養い、最終的には野球のプレーに結びつけるという段階を踏んで組み立てられます。シーズンに入ると野球の練習にかける時間が長くなる傾向にあるため、トレーニングにかける時間や体力的な余裕は減ってしまいます。一方でこの時期のトレーニングプログラムはパワー養成をメインにしたもの(高負荷×低回数)が多いため、多くの時間を割かずともトレーニングを行うことが可能であるとも言えます。ここで注意したいのは、野球の練習とともにトレーニング量(ボリューム)が多くなってしまうこと。体力を消耗してしまってオーバーワークとなり、疲労回復が追いつかなくなるとケガを誘発することにもなるので、全体の運動量を適切にコントロールする必要があります。
野球の技術力向上を優先させるときには、ボールを使った練習の後にトレーニングを行うことになると思いますが、その際にはインターバルをとり、水分補給や補食などでエネルギー源を補給してから実施するようにしましょう。ユニフォームからトレーニングウエアなどに着替えることも大切です。体力的にきついと感じる日は無理をして重いウエイトを扱うのではなく、軽めの負荷で反復回数を増やしたり、セット数を少なくして短時間で集中して行ったりと臨機応変に対応し、オーバーワークにならないように気をつけましょう。
トレーニングを重点的に行うときは、決められた設定や回数をしっかりと行って体力強化を図ります。その後は水分補給・エネルギー補給を行った後に、野球の練習に入ります。トレーニング後は体が重かったり、足が動きにくかったりしますが、その中でどれだけ再現性高くプレーをすることができるか、試合の中盤・終盤を想定して練習に取り組むようにしていきましょう。技術練習とトレーニングの両立は全体の運動量との兼ね合いによって変化します。オーバーワークを避けるように気をつけて行っていきましょう。
文:西村 典子
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