野球選手と視力矯正
視力矯正によってパフォーマンスの改善が期待できるケースがある
野球に限らずスポーツの多くはさまざまな情報を視覚から得ています。基本的な視力(この場合は健康診断等で測定する静止視力)が衰えてしまうと対象物をしっかりととらえることができず、パフォーマンスにも支障が出る場合があります。野球では静止視力だけではなく、動体視力(動いているものとの距離感や速度、回転などを認識する力)、目と手の協調性、周辺視など総合的に「モノを見る」ことが大切だと言われていますが、まずは静止視力がどの程度あるのかを把握し、必要に応じて視力矯正を行うことが必要です。
スポーツに必要な適性視力については競技によって異なりますが、多くのスポーツにおける最適矯正視力は両眼視で1.2~1.5、球技では少なくとも0.7以上を維持する必要があるという研究報告があります※。また視力に左右差がある場合は悪い方の視力を矯正することが勧められます。
野球選手の視力矯正で一般的なものといえば使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズではないでしょうか。ソフトレンズは黒目よりも大きく、レンズが柔らかいために快適に装着できること、そしてズレにくいため激しい動作の多いスポーツに適していると言われています。一方で間違った使い方をすると目を傷つけ、大きなトラブルになることも考えられます。基本的なことですが決められた期限を守ること、長時間連続しての装着はなるべく避けるようにすることなどを心がけましょう。
この他にハードコンタクトレンズ、メガネを用いた視力矯正方法があります。ハードレンズは黒目よりも小さく、見え方がソフトレンズよりもよりシャープであると言われていますが、まばたきをするたびに目の中でレンズが大きく上下に動く特性があり、慣れるまでに時間がかかることがあります。またレンズがズレやすいためスポーツ場面ではソフトレンズの方が使いやすいでしょう。メガネは直接目に触れることがないため安全であり、つけ外しも容易に行うことができます。ただし目の動きと連動していないため、見える視野に限界があります。
視力が改善されるとパフォーマンスに良い影響を及ぼすことも期待できます。まずは自分の視力を知り、視力矯正が必要な場合は眼科医と相談の上、適切な矯正方法を選択するようにしましょう。
文:西村 典子
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