野球選手にとって姿勢を意識することはとても大切なことです。崩れた姿勢のままプレーを繰り返し行うと、パフォーマンスに影響するだけではなくケガの要因ともなってしまうことがあるからです。特に背中が丸まった猫背の状態は、野球に必要な体の回旋動作や投球動作に支障を及ぼすことが指摘されています。背中が丸まって肩こりや首の張りなどを感じる選手は、普段から頭が前方に移動して首や肩により負担をかけるような姿勢をとり続けていないでしょうか。

 私たちが日常的に使っているスマートフォン(スマホ)をのぞき込む姿勢がその代表的な例です。成人で5㎏ほどあるといわる頭の重さですが、その位置が数㎝前方に移動するだけでも首や肩、背中にかけて2~3倍程度の負荷(10~15kg程度)がかかるといわれています。肩こりや首の張りだけではなく、寝違えや頭痛の原因にもなるといわれ、このような状態が長く続くと首の骨(頸椎:けいつい)がもつ自然なわん曲が失われて、ストレートネックになってしまうこともあります。

 ストレートネックでは首の骨のわん曲が少ない分、さまざまな動作を行うたびに首にダイレクトに負荷がかかって痛めやすくなるだけではなく、首のスムーズな動きが制限されて視野が狭くなり、守備機会でのミスやバッティングでのボールの見極め、フォームの崩れにもつながることがあります。また肩こりや首周辺部の筋肉が硬くなってしまうと、腕が上がりにくくなるといったことも起こります。

 腕が上がりづらいのに無理して投げ続けるとどういったことが起こるでしょうか。そうです。肩や肘に負担をかけ、痛めることにもつながります。こうしたことを予防するためにも普段の姿勢が前屈みになりすぎていないか注意すること、時々首周辺部のストレッチを行うことなどを心がけましょう。

 猫背の解消トレーニングとしては主に広背筋や菱形筋などを働かせるためのトレーニングやストレッチが大切です。筋力が不足していても、また筋肉の柔軟性が悪くなっていても背中は丸まりやすくなるからです。また体の前面は筋肉の緊張をほぐすためのストレッチを入念に行いましょう。大胸筋のストレッチを兼ねて、軽い負荷でダンベルフライを行ったり、自分で肩の前方(大胸筋の付け根部分)をほぐすだけでも頭の位置は後方に移動しやすくなります。

 一方、ベンチプレスばかりを行っていると大胸筋の収縮によって肩は前方へと移動しやすく、より猫背の姿勢を作り出してしまうことにもなります。筋力強化と柔軟性を同時に実現できるよう、体の前面と後面の筋力バランスを意識し、猫背やストレートネックにならない姿勢を維持するように心がけましょう。

文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!