忘れがちな首のストレッチ
肩に力が入ると首の筋肉が硬くなりやすいので、忘れずにストレッチをしておこう
練習前や練習後にストレッチを行う選手は多いと思いますが、特に重点的に行うのは下肢や投球動作に直接関わる肩・肘付近ではないでしょうか。ここにケガ予防、パフォーマンスアップのための首のストレッチもぜひ取り入れてみましょう。
首は頭を支える大事な部分ですが、最近はスマートフォン(スマホ)の普及によって小さな画面をのぞき込む姿勢が増え、首の後ろ側が常に伸ばされた状態となっています。この状態が日常化してしまうと首周辺部の筋肉が緊張して、肩こりを引き起こしたり、頭痛などが起こったりします。さらにこの姿勢が常態化してしまうと首の骨である頸椎の形状が変化し、もともと持っている自然な弯曲がなくなった「ストレートネック」と呼ばれる状態になってしまうこともあります。
野球のプレーにおいては、肩が上がりにくいと感じるときや、バッティング動作で首の回旋動作が不十分なときに首周辺部をストレッチすると、その動作が改善することがあります。首のストレッチは前後への動作(うなずく・あごを挙げる)、左右に首を傾ける動作、そして「右向け右」「左向け左」という頸椎を回旋させる動作という6方向を意識して行うようにすると良いでしょう。
スマホなどを長時間見たときには首の後ろ側が伸ばされた状態が続くため、ときどきあごを挙げて首の前側を伸ばすようにすると、頭が前方に移動することを抑えることにつながります。また首から肩にかけての僧帽筋をはじめとする筋肉は、特に投球側が過緊張しやすいので(いわゆる肩に力が入った状態)、頭を手で抱えて投球側の首をしっかり伸ばすと良いでしょう。ストレッチの前に首をすくめるシュラッグ動作を行ってからストレッチをするとより効果的です。
首のストレッチは短時間でできるので、ときどきは首の筋肉を伸ばして緊張をほぐすようにしておくと、野球のパフォーマンスアップにも役立ちます。練習後や入浴中などにも行うようにすると良いですね。
文:西村 典子
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