土台作りから最大筋力向上へ
トレーニングはオフシーズンだけではなく、年間を通じてその時期にあったものを行いたい
トレーナーがトレーニングプログラムを組むときは、大事な試合に向けて「いかに身体のコンディションをよい状態にあげていくか」ということが重要になってきます。春の大会、夏の大会、秋の大会と地方大会は大きく3つありますが、ここで持てる力の100%が発揮できるようにすることが理想的です。シーズン前のこの時期は、今まで行ってきた体力面での土台作りから、持っている筋力を最大限に発揮する能力を高める時期へと移行します。
ウエイトトレーニングでいえば今まで行っていた重量を上げ、回数を減らすことで最大筋力を向上させるようにプログラムを変更します。例えばスクワットを80kgで10回×3セット行っていたのであれば、90kgとか100kgといった具合に重量を上げて回数を減らします(重さは段階的に上げるようにしましょう。重量が増えると当然できる回数は減ります)。セット数についても技術練習との兼ね合いを見ながら、少し減らしていく方がオーバーワークを防ぎやすくなります。こうするとウエイトトレーニングを行う時間は減りますが、強度を保ちながら体力レベルを維持することができます。
また少し軽めの重さで専門的な動作を行うことも大切です。今までは身体を大きくするために基本的なエクササイズを選択していることが多かったと思いますが、これと並行しながらプルオーバーなど投球動作に近いものや、バッティング動作を意識したメディシンボール投げなどで、筋肉に専門的な動作を学習させることも必要となってきます(神経と筋肉の連動性を高める)。
トレーニングはオフシーズンだけというチームも少なくないと思いますが、トレーニングを専門的な動作に近づけることで、今まで行ってきた成果を野球に結びつけるようにするとよりレベルアップした動作が期待できます。またケガの予防という観点から見ても、年間を通じてトレーニングを実施していくようにすることが望ましいと言われています。ただしオーバーワークには十分に注意し、実践練習の強度が高いときはトレーニングの頻度や強度を下げるといったことを行うようにしましょう。
文:西村 典子
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