陸上元アジア記録保持者が語る、中高生が足が速くなるために大事なこと。

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2021.01.26

指導を行う秋本真吾氏

 「走・攻・守」という言葉があるように、野球選手にとって走力アップは決して無視できないテーマだ。そんな野球選手の「走」の部分を、理論に基づいた指導で向上させ続けてるのが、スプリントコーチの秋本真吾氏だ。

 現役時代は400mハードルの選手としてオリンピック強化指定選手に選出され、特殊種目200mハードルの当時のアジア記録を樹立するなど活躍。またコーチとしてもプロ野球2球団での指導実績を持ち、個人でも内川聖一選手(東京ヤクルト)や荻野貴司選手(千葉ロッテ)をサポートするなど、指導したプロ野球選手は100名以上にも及ぶ。

 また中学硬式野球チームの新宿シニアでも指導にあたるなど、小中学生への指導も積極的に行っているが、今回はそんな秋本氏に「成長期の選手が足が速くなるために大事なこと」をテーマにお話を頂いた。

基礎体力、基礎筋力があって初めて技術の再現率が高まる

 秋本氏が、野球選手への指導を始めたのは2010年。当時のスポンサー会社の紹介で、オリックス・バファローズの選手にスプリントの指導を行うことになったが、プロ野球選手の成長速度に衝撃を受けた。

 「1時間半くらい指導させていただいたのですが、その僅かな間でみんな50メートル走が0.3秒とか0.4秒とか速くなったんです。僕らって1/100秒を縮めるために毎日必死に練習して、縮まらずに辞めていく人もたくさんいるのに、ほんの1時間半で何でこんなに簡単に速くなるのだろうと驚きました」

 答えはすぐにわかった。元々の運動能力が高いことももちろんだが、プロ野球選手は「アスリートとしての土台」がすでに出来上がっていたためだ。
 「アスリートとしての土台」とはずばり、基礎体力と基礎筋力だ。プロ野球の1軍で活躍するような選手は、シーズンを通して戦うための体、強いボールを投げるための体、遠くに飛ばすための体がすでに出来上がっている。その状態で足が速くなるためのフォーム、つまり「技術」を知ったことで超短期間で走力を上げることに成功したのだ。

 「正しい走り方、正しい投げ方、正しい打ち方って、カテゴリーとしては『技術』に入ると思っています。ですがその『技術』を再現するためには基礎体力、基礎筋力が全てで、そこがあって初めて技術の再現率が高まってくると思います。まずは土台ですよね」

 現在、秋本氏は小中学生の球児にも指導する機会が多くあるが、まだ基礎体力、基礎筋力がない小中学生がいきなり指導した通りのフォームを再現することは出来ない。正しい走り方を教えつつ、手押し車などのフィジカル強化も行い、土台と技術の同時進行を意識しているという。

 「どの種目も共通ではないかと思いますが、基礎体力や基礎筋力が無いまま、プロの選手はこのように投げてる、こんな風に打ってる、このように走ってる、と真似しようとする選手がとても多いです。基本的な動作、運動をまずやることが技術習得ですごく大事だと思っています」

 人間の体が出来上がるのは、男性の場合は24歳頃から30歳頃にかけて、女性の場合は21歳頃から28歳頃にかけてというデータもある。つまり中学、高校時代で、自身の能力の限界を決めつけるのはまだ早いというわけだ。中学、高校球児の選手たちは、是非とも基礎固めに努めて欲しい。

(取材・執筆=栗崎 祐太朗)


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