森下暢仁が球団6年ぶりの新人王へ前進!矢崎拓也は初登板であわや大記録【広島東洋 ドラ1選手のルーキーイヤー】
森下暢仁(大分商-明治大)
プロ志望届の提出期限が過ぎ、いよいよ今年のプロ野球ドラフト会議の日が迫ってきた。今年も多くの選手がドラフト候補として名を連ねるが、やはり一番の注目は「ドラフト1位候補」だろう。ドラフト1位といえど、将来のエース候補、来季の即戦力候補など位置づけは様々で、それは起用法にも表れる。そこで今回は、各球団が直近5年間で指名してきたドラフト1位選手たちの、ルーキーイヤーの成績を振り返りたい。今回は広島東洋カープを見ていこう。
野村祐輔、大瀬良大地の系譜を継ぐ森下暢仁
広島の過去5年間のドラフト1位指名選手とそのルーキーイヤーの成績は以下の通り。
2015年 岡田明丈(大商大高・大商大) 投手
18試合 4勝3敗 1ホールド 89.1回 60奪三振 防御率3.02
2016年 加藤拓也(慶應義塾・慶應義塾大) 投手 ※現・矢崎拓也
7試合 1勝3敗 29.1回 28奪三振 防御率4.30
18試合 6勝5敗 70.1回 51奪三振 防御率3.33(ファーム)
2017年 中村奨成(広陵) 捕手
83試合 4本塁打 16打点 6盗塁 打率.201 長打率.299 出塁率.257(ファーム)
2018年 小園海斗(報徳学園) 内野手
58試合 4本塁打 16打点 1盗塁 打率.213 長打率.324 出塁率.241
53試合 6本塁打 22打点 8盗塁 打率.210 長打率.343 出塁率.262(ファーム)
2019年 森下暢仁(大分商・明治大) 投手
16試合 8勝3敗 105.2回 112奪三振 防御率2.21
※10/18終了時点
2015~2019年の5年間で日本ハムが指名したのは、高卒野手2人、大卒右腕3人と方針が明確だ。
まだ今シーズンの途中ではあるが、1年目に最も活躍したのは森下暢仁だ。開幕から先発ローテーションを守り、出遅れた野村祐輔、途中で離脱した大瀬良大地に代わり、エース級の働きを見せている。戸郷翔征(巨人)との新人王争いでも一歩リードしており、このままいけば十分可能性はあるだろう。
森下ほどではないが、岡田明丈も1年目から一軍の戦力として機能した。18試合89.1回を投げ防御率3.02で、広島の優勝に貢献したと言えるだろう。矢崎(加藤)拓也は開幕早々に一軍登板のチャンスを掴むと、デビュー戦で9回一死まで無安打無得点の快投。大記録はならなかったが、初登板で初勝利を掴んだ。しかし一軍に定着することはできず、主戦場はファームだった。
小園海斗は開幕一軍入りを果たしたが、出場のないまま登録抹消となり、初出場は6月のことだった。遊撃レギュラーの田中広輔の不調もあり、そこから出場機会を掴むと58試合に出場して4本塁打をマーク。高卒1年目の遊撃手としてはこれ以上ない1年目だった。
同じ高卒野手でも捕手の中村奨成は、1年目の一軍出場はなく、ファームのレギュラー格として83試合に出場。打率.201はやや物足りない数字だが、6盗塁をマークするなど高校時代からの走攻守が揃った捕手らしいプレイも見せた。
チームの主軸となる投手は大卒で、野手は高卒で獲得するというのがここのところの広島のドラフト1位戦略となっているが、ここ2年はBクラスに甘んじてしまっている。ここでさらに将来の主軸候補の高卒選手を指名するのか、それとも来季の巻き返しへ向けて森下に続く即戦力投手を獲るのか。球団の方針が気になるところだ。
記事:林龍也