ウエスタンの主要打撃タイトルは高卒ルーキーが総なめ?!石川昂弥、井上広大、紅林弘太郎がトップ
各球団とも残り試合数が30を切り、いよいよ佳境を迎えつつある今シーズンのプロ野球。タイトル争いの行方も気になるところだが、ファームでは高卒新人たちがタイトル争いに名乗りを挙げている。本連載では高卒新人たちのファーム成績を追いかけ、その成長を分析する。第17回では、野手たちを見ていこう。
石川昂弥、井上広大、紅林弘太郎らが主要打撃タイトル獲得か
左から石川昂弥、井上広大、紅林弘太郎
10月11日終了時点でファームの規定打席に達しているのは、前回から1人減って8人。横浜DeNAの森敬斗が出場ペースを落としている。彼らのOPSを可視化したものが下記グラフだ。
OPSを可視化したグラフ
中日の石川昂弥(東邦)、東北楽天の黒川史陽(智辯和歌山)がOPS.7越えをキープするなど好調だ。断トツの首位打者だった中日の渡辺勝が一軍に昇格し、出場数を減らしたことから石川が打率トップに立っている。
渡辺はその後コンディション不良のため一軍登録を抹消、ファームでも出場できずにいる。石川のパフォーマンス次第では、タイトル獲得の可能性も十分にある。
黒川はタイトル争いにこそ絡んでいないが、出塁率.375、長打率.352とハイパフォーマンスを維持している。主要打撃成績でも打率.286、5本塁打、25打点と好成績をキープしており、来季以降の飛躍が期待される。
阪神の井上広大(履正社)はOPS.688と2人にやや遅れを取ってはいるものの、8本塁打、32打点はウエスタントップの数字だ。一軍では大山悠輔が本塁打王争いを繰り広げているが、両リーグでのタイトル獲得となるか、注目したい。
中日の岡林勇希(菰野)、東京ヤクルトの長岡秀樹(八千代松陰)までがOPS.6越えをマークしている。岡林は打率.276と4位につけており、今後の結果次第では首位打者の可能性も残す。長岡は一時期よりも長打率を落としているが、この成績をキープできればシーズン終盤での一軍昇格の可能性も見えてくるだろう。
東京ヤクルトの武岡龍世(八戸学院光星)、オリックスの紅林弘太郎(駿河総合)、広島東洋の韮沢雄也(花咲徳栄)はOPS.55前後をマークしている。いずれも前回よりもわずかながら成績を上げており、OPS.6越えの期待がかかる。
中でも紅林は試合、打席、打数に加え、安打でもウエスタン最多を記録しており、タイトル獲得も見据える。
石川が首位打者、井上が本塁打王・打点王、紅林が最多安打と、高卒新人たちがウエスタン・リーグの主要打撃タイトル総なめの可能性すらある今シーズン。コロナ禍におけるプロ野球は混乱を極めたが、彼らが未来を照らす光明となるかもしれない。
※成績は全て10月11日終了時点
データ協力: やきうのおじさん(@yakiunoojisan)
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。
記事:林龍也