松井は続くか? 楽天は生え抜き高卒投手の規定到達が田中将大と辛島航の過去2人だけ
東北楽天の松井裕樹(桐光学園出身)
8月と9月に今秋のドラフトへ向けた高校生合同練習会が東日本、西日本それぞれの会場で行われた。甲子園が中止となったことでアピールの場を失ってしまった選手たちが、プロ野球団のスカウト陣を前に思う存分プレーしたようだ。
そのなかで山下舜平大(福岡大大濠)や内星龍(履正社)に豆田泰志(浦和実)ら投手陣に注目が集まっていた。各球団ともにチームの屋台骨を支えてくれるような先発投手を高卒で獲得することができたら、数年はやりくりが楽になる。
さて、現時点では各球団、生え抜き高卒の先発ローテーション投手は、どれだけ存在しているのだろうか。各球団の今シーズンにおける登板数上位5名を振り返ってみたい。
楽天の柱は移籍1年目の涌井秀章(横浜高)だ。ここ数年は成績も低迷していたが、開幕から8連勝と今シーズンは完全に復活した。プロ野球史上初となる3球団での最多勝獲得も視界に入る。
そして昨シーズン中に7年契約を結び、海外移籍を封印した則本昂大(三重中京大)が12先発で続く。今シーズンは開幕から3連勝と絶好のスタートを切ったものの、その後3連敗。8月に入り2勝を上積みしたが、試合中のアクシデントにより9月5日に登録を抹消されている。9月22日にファームでは試合に出場し、5回2失点の結果を残した。優勝争いへ向け復帰が待ち遠しい存在だ。
則本と同じく12先発なのが、左腕の塩見貴洋(八戸大)。9月15日に登録を抹消されたものの、開幕2カード目から3ヶ月間ローテーションを守ってきた。10先発の弓削隼人(SUBARU)がつづく。今シーズンが2年目となる大型左腕は開幕ローテーションに入り、奮闘してきた。しかし8月に入ると打ち込まれ月間防御率9.18と苦しみ、現在は二軍で調整中となっている。
そして今シーズンから先発へ再転向した松井裕樹(桐光学園高)が9先発で5位に入ってくる。2018年の終盤に2試合先発登板を果たしているが、本格的なローテーション投手としてはルーキーイヤー以来6年ぶりのこと。
しかし開幕から2試合連続で結果が出ず、二軍での調整を余儀なくされてしまう。8月に一軍復帰をはたしているものの、ここまで2勝3敗、防御率4.05といまひとつ。抑えとしての実績は申し分なかっただけに、少し物足りなく感じてしまう。
このように楽天の先発投手陣は移籍、高卒、大卒、社会人と様々な経路で加入してきた選手たちが活躍しており、現時点で出身の偏りはない。ただ、生え抜き高卒の先発投手は歴史を振り返ってみても多くない。
田中将大(駒大苫小牧高/現ヤンキース)という絶対的エースはいたものの、その他に規定投球回に到達したのは辛島航(飯塚高)の1回(2014年)だけ。森雄大(東福岡高)、安樂智大(済美高)、藤平尚真(横浜高)といったドラフト1位の高卒投手もここまでは結果を出すに至っていないのが実情だ。
松井は生え抜きの高卒投手としてローテーションに定着し、結果を残し続けることができるだろうか。今シーズンは難しくとも、来シーズン以降の規定投球回到達に期待がかかる。
【先発登板数上位】
1位(14)涌井秀章(横浜高)※ロッテより移籍
2位(12)則本昂大(三重中京大)
2位(12)塩見貴洋(八戸大)
4位(10)弓削隼人(SUBARU)
5位(9)松井裕樹(桐光学園高)
※数字は2020年9月23日終了時点
記事=勝田聡