遅咲きのスピードスター・荻野貴司、MLB帰りの村田透ら85年世代ドラ1の現在地

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2020.05.23

 野球の世界には「松坂世代」を始め、有力選手が集まった世代を「〇〇世代」と形容する流れがある。毎年12名のドラフト1位が生まれるので、平均すれば各世代に12名のドラ1がいることになるのだが、多い世代、少ない世代というのが出てくる。そこで世代別にドラフト1位を集計し、その現在地を見ていきたい。今回は高卒17年目、35歳を迎える85年世代だ。

今季も現役は内、白濱、村田、荻野の4人のみ



荻野貴司(千葉ロッテ)*写真は2018年取材時

 85年世代でドラフト1位指名を受けたのは、高卒3人、高卒社会人3人、大卒8人、大卒社会人1人の計15人。彼らの主な通算成績は以下の通り。

<2003年ドラフト>
内竜也(川崎工・千葉ロッテ) 単独指名
308試合 20勝12敗 56セーブ87ホールド 324.2回 311奪三振 防御率3.33

白濱裕太(広陵・広島東洋) 単独指名
84試合 1本塁打 7打点 1盗塁 打率.159

中川裕貴(中京・中日) 単独指名
28試合 1本塁打 2打点 打率.152

<2006年ドラフト>
高崎健太郎(鎮西・日産自動車・横浜) 希望枠
178試合 25勝40敗 1セーブ11ホールド 616.1回 435奪三振 防御率4.22

小嶋達也(遊学館・大阪ガス・阪神) 希望枠
64試合 4勝9敗 5ホールド 120回 117奪三振 防御率5.33

<2007年ドラフト>
大場翔太(八千代松陰・東洋大・福岡ソフトバンク・中日) 6球団競合
85試合 15勝21敗 336.1回 286奪三振 防御率4.39

長谷部康平(杜若・愛知工業大・東北楽天) 5球団競合
110試合 11勝19敗 3セーブ11ホールド 300回 205奪三振 防御率5.37

加藤幹典(川和・慶應義塾大・東京ヤクルト) 単独指名
23試合 1勝3敗 46.1回 19奪三振 防御率9.13

篠田純平(前橋商・日本大・広島東洋) 外れ1位・3球団競合
99試合 20勝26敗 5ホールド 391回 213奪三振 防御率4.24

白仁田寛和(糸島・福岡大・阪神・オリックス) 外れ1位
56試合 3勝2敗 3ホールド 70回 33奪三振 防御率3.86

山内壮馬(杜若・名城大・中日・東北楽天) 外れ1位
57試合 17勝15敗 1ホールド 310.2回 153奪三振 防御率3.01

小林賢司(酒田南・青山学院大・オリックス) 外れ外れ1位
2試合 0勝0敗 1回 1奪三振 防御率0.00

村田透(大体大浪商・大阪体育大・読売・インディアンス・北海道日本ハム) 外れ外れ1位
MLB 1試合 0勝1敗 3.1回 2奪三振 防御率8.10
NPB 46試合 7勝7敗 2ホールド 163奪三振 防御率3.09

<2008年ドラフト>
木村雄太(秋田経法大附・東京ガス・千葉ロッテ) 単独指名
47試合 1勝6敗 1ホールド 87.2回 56奪三振 防御率5.24

<2009年ドラフト>
荻野貴司(郡山・関西学院大・トヨタ自動車・千葉ロッテ) 単独指名
731試合 31本塁打 204打点 201盗塁 打率.279

※球団名は入団時

 高卒では内竜也、白濱裕太、中川裕貴がドラフト1位指名を受けた。1年目から登板機会を掴んだ内は、おもに中継ぎで活躍を見せている。右ひじ手術の影響で昨季は登板なしに終わったが、今春の練習試合で実戦に復帰。今季は中継ぎの柱として期待がかかる。白濱裕太はこれまで16年間で通算84試合と出場数は少ないが、ファームでは捕手としてチーム最多42試合に出場しており、長年の経験を活かしてチームを支えている。3年目に一軍デビューを果たした中川だったが、その後は出場数を伸ばせず、2011年オフに戦力外通告を受け、現役を引退した。

 高卒社会人からは3人が入団。高崎健太郎は横浜のエースとして、2011、2012年には規定投球回、防御率3点台をクリアしたが、苦しむチームで7勝が自己最多。通算でも20勝に留まった。高校時代には遊学館硬式野球部の1期生として、創部2年目でエースとして甲子園出場も果たした小嶋達也。プロ入り1年目の開幕3戦目で初登板初先発初勝利を挙げる活躍を見せたが、その後は伸び悩み通算4勝。2016年オフに現役を引退した。

 ドラフト年こそ大卒の選手より後だが、木村雄太も高卒社会人組だ。2006年ドラフトで一度は横浜から3位指名を受けたが、これを拒否し、2008年ドラフト1位でロッテに入団。しかし初勝利まで7年を要するなど苦戦し、通算1勝に留まり2016年オフに戦力外通告を受けた。

 大卒組は8人全員が投手だ。中でも大場翔太、長谷部康平、加藤幹典の3人は「BIG3」と呼ばれ、ドラフトの目玉だった。6球団が競合した大場は1年目から3勝を挙げ将来を期待されたが、4年目の7勝がキャリアハイ。2015年オフに中日へトレード移籍するが登板がなく、翌年現役を引退した。5球団競合の長谷部は、1年目の開幕直前に左ひざの半月板を負傷。故障を抱えながらも2年目には5勝を挙げたが、思うように成績は伸びなかった。2013年に回復してからは中継ぎとして輝きを放ったが、2016年オフに現役引退した。

 川和時代には、川崎工・内竜也、城郷・吉田幸央(元ヤクルト)らとともに「神奈川公立三羽ガラス」とも呼ばれた加藤。大学でもBIG3と呼ばれプロ入りしたが、1年目から左肩の違和感に悩まされた。それでも3年目に初勝利を挙げたが、それが唯一の白星となってしまった。この3人を上回る20勝を挙げたのが、篠田純平だ。1年目から勝利を挙げ、3年目には自己最多の6勝。しかしそこから伸び悩み、一軍登板がなかった2015年オフに戦力外通告を受け、現役を引退した。

 プロ入り序盤はなかなか勝利を挙げられなかった山内壮馬だが、5年目の2012年には先発ローテーションに定着し二桁勝利を達成。しかし翌年受けた右ひじの手術の影響で成績を落とし、戦力外通告を受け東北楽天へ移籍も、2016年オフに現役引退。現在は母校・名城大でコーチを務める。ちなみに長谷部とは杜若時代の同級生で、ともに大学を経てドラフト1位でプロ入りを果たした。2015年から2年間はプロでもチームメイトとなり、ともに2016年オフの引退だった。

 阪神時代には出場機会に恵まれず、初勝利まで6年を要した白仁田寛和。7年目にオリックスへトレード移籍すると、中継ぎで自己最多43試合に登板し、防御率3.29と好投。しかし翌年は故障続きで精彩を欠き、戦力外通告を受け現役を引退した。青山学院大からオリックス入りした小林賢司は通算2試合で未勝利のまま、5年で現役を引退した。

 村田透は巨人時代の3年間では一軍登板がなかったが、アメリカに渡り、マイナーを経てメジャー登板を経験。2017年シーズンからは北海道日本ハムに移籍すると、2018年には自己最多6勝をマークした。昨季は故障もあり数字を落としたが、今季の復活に期待がかかる。

 唯一の大卒社会人である荻野貴司は、遅咲きのスピードスターだ。1年目から開幕スタメンを掴み活躍を見せていたが、右膝半月板を損傷しリハビリを余儀なくされた。復帰後もコンスタントに出場を続けていた荻野だが、ケガに泣かされ続けた。しかし昨季、自身初の規定打席に到達し打率.315、ベストナイン、ゴールドグラブ賞にも輝くなど大ブレイク。今季もチームの主力としての期待がかかる。

 今季も現役でプレイするのは内、白濱、村田、荻野の4人のみとなった1985年世代のドラ1選手たち。コロナ禍の中、モチベーションの保ち方が難しい時期ではあるが、今季も元気な姿でプレイするところを見せてもらいたい。

記事:林 龍也

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