「甲子園の申し子」とまで呼ばれた岸潤一郎(明徳義塾出身)の現在地
明徳義塾時代の岸潤一郎
「甲子園の申し子」とまで呼ばれた岸潤一郎の現在地
8日、第101回夏の甲子園で明徳義塾(高知)が6対4で藤蔭(大分)に競り勝ち、2回戦進出を決めた。
春夏通算38回の甲子園出場を誇る名門だが、その明徳義塾にかつて在籍した「甲子園の申し子」をご存じだろうか。
岸 潤一郎、この名前を聞いてピンと来る人は多いだろう。西淀ボーイズ(大阪)出身の岸は2012年夏に1年生で夏の甲子園に出場し、いきなり4番を任されマウンドにも立つなど投打に渡る活躍でチームを10年ぶりの夏ベスト4に導いた。しかし、準決勝で藤浪晋太郎(阪神タイガース)らを擁する大阪桐蔭に敗れた。
悔しさを胸に2年生エースとなった岸は、翌年の夏も甲子園に出場する。迎えた3回戦で相まみえたのは、またも大阪桐蔭だった。この年の大阪桐蔭は、森友哉(埼玉西武ライオンズ)を擁し優勝候補に挙げられていたが、明徳義塾は5対1で大阪桐蔭を降しリベンジを果たした。チームは準々決勝で日大山形に敗れた。
迎えたラストイヤー。エースで4番で主将という重責を担った彼は、春夏連続で甲子園に出場。春は1回戦で2002年夏決勝以来の智弁和歌山と対戦し、延長の末サヨナラで勝利すると、2回戦で関東一(東京)を下し、準々決勝で田嶋大樹(オリックスバファローズ)擁する佐野日大(栃木)に敗れた。
岸にとって最後となった2014年夏。初戦で岡本和真(読売ジャイアンツ)、廣岡大志(東京ヤクルトスワローズ)擁する智弁学園(奈良)と対戦。10対4と打ち勝って2回戦に駒を進めた。
迎えた2回戦、運命のいたずらか、相手は三たび大阪桐蔭であった。試合は岸がネクストバッターで終了し5対3で敗戦。3年間で4度の甲子園を経験し、名門のエース兼4番兼キャプテンという華々しい経歴から、人は岸を「甲子園の申し子」と呼んだ。岸は高校日本代表にも選出され、投手としてアジア選手権に出場、準優勝に輝いた。
岸は2014年秋、プロ志望届を提出せず、恩師である馬淵監督の母校、拓殖大学に進学し、4年後のプロを目指した。
しかし、岸はケガが重なり、手術も経験し、復帰を目指したが、3年秋に野球部を退部。2018年から徳島インディゴソックスでプレーをしている。
現在の岸潤一郎は投手ではなく野手としてプレーし、1年目から41盗塁をマークし、リーグ盗塁王を獲得。2019年は48試合に出場し、3本塁打。さらに6月から1か月間、行われた北米遠征を経験するなど、充実の1年を送っている。
今年のドラフト会議は10月17日。果たして、岸の夢が現実のものとなるか。ドラフト会議へ向けて、懸命のアピールは続く。