青木宣親は甲子園出場経験なく、ドラフト上位でもないスーパースター
プロ野球が開幕して3週間ほど経過した。今シーズンは両リーグともに独走するチームはなく、混戦模様となっている。そんななかヤクルトが好調だ。山田哲人、ウラディミール・バレンティン、雄平そして青木宣親といった主力野手の調子が上向き、手がつけられなくなっている。
なかでも開幕から2番を任されている青木が絶好調。打率.351(57打数20安打)はチームトップの数字であり、セ・リーグでも6位につけている。少し気は早いが、自身9年ぶりの首位打者を狙える位置と言ってもいい。
そんな青木だがアマチュア時代は決して目立った選手ではなかった。
ドラフトは4巡目指名
今シーズン絶好調の青木宣親(ヤクルト)
青木はこのほど引退したイチロー、そして松井秀喜についでMLBで結果を残した日本人野手と言っても過言ではない。
2012年から2017年までの6シーズンで打率.285(2716打数774安打)。MLB通算774安打はイチロー、松井秀についで日本人3位の数字でもある。結果的にMLBにおける最後のシーズンとなった2017年も、打率.277(336打数93安打)と規定打席には届いていないものの十分な成績を残していた。
そんな青木は宮崎県の日向高校出身。本人は選抜高校野球、全国高校野球選手権(以下、夏の甲子園)への出場はない。また、学校としても織田淳哉の2年時に夏の甲子園へ1度(1989年)に出場したのみ。甲子園出場の常連校だったわけではない。
同校を卒業後に青木は早稲田大学へと進学し、鳥谷敬(阪神)や1学年下の田中浩康らとともに4連覇を達成。チームの中心選手だったこともありドラフト候補となったが、自由獲得枠で阪神入りを果たした鳥谷のような高評価ではなかった。それは4巡目指名ということからもわかるだろう。
ヤクルトに入団後は1年目に二軍で首位打者を獲得。若手の有望株として注目される存在ではあったが、一軍出場はわずか10試合。初年度から一軍で実力を発揮していたわけではない。
しかし、2年目にレギュラーとして定着すると、首位打者を獲得し新人王を受賞。一気に頭角を現した。早生まれの青木にとって23歳のシーズンである。
そこからは一気に中心選手となり、2012年にMLBへと移籍。2018年から再びヤクルトのユニフォームへと袖を通し年長者としてチームを引っ張っている。もちろん残した数字も素晴らしい。すでに日米通算2000本塁打安打も達成しており、現時点ではNPBの通算打率(4000打数以上)においてもトップ。輝かしいキャリアについては今さら語るほどでもないだろう。
そんな青木でも高校時代に春夏の甲子園への出場はなく、ドラフト上位指名選手でもなかったのである。アマチュア時代の実績があるほど、ドラフト上位で指名される可能性が高くなるのは事実としてある。しかしプロ入り後の活躍はまた別の話、ということがよくわかる事例だろう。
甲子園に出場できなくとも、ドラフト上位指名でなくともスーパースターになる可能性は十分にある。
文=勝田聡