大卒投手が目立った広島、高卒投手の飛躍に期待
丹生時代の玉村 昇悟
2021年のペナントレースは、セ・リーグがヤクルト、パ・リーグはオリックスが優勝を飾った。ヤクルトは奥川 恭伸、オリックスは宮城 大弥と高卒2年目の投手が飛躍。チームに欠かせない存在となった。その他にも佐々木 朗希(ロッテ)や及川 雅貴(阪神)ら同じく高卒2年目の投手がクライマックスシリーズに進出したチームの戦力となった。
彼らのように生え抜きの高卒投手が早い段階で計算できるようになると、チームにとってはこの上なく大きい。国内FA権の取得までの期間が大学生や社会人出身の選手と比べ1年長いからだ。
さて、各球団の生え抜き高卒投手は、今シーズンどれだけの勝ち星を挙げているのかを振り返ってみたい。
今シーズンの広島の投手陣を見渡すと、大卒の生え抜き投手が中心だった。九里 亜蓮(13勝)、大瀬良 大地(10勝)、森下 暢仁(8勝)と勝ち星の上位3人で31勝。チーム全体で63勝のうち、およそ半分の勝ち星を3人で挙げた。
高卒の投手では高橋 昂也と塹江 敦哉がそれぞれ5勝。そして玉村 昇悟が4勝をマークした。なかでも玉村は高卒2年目ながら先発ローテーションを任され101回を投げた。101回は森下、九里、大瀬良に次ぐチーム4位の数字でもある。
4勝7敗と3つの負け越しながら防御率3.83と最低限の数字を残している。奥川や佐々木朗、宮城らと比べると見劣りしてしまうが、高卒2年目でこれだけの数字を残すことができれば上出来だろう。
高卒5年目の高橋は、トミー・ジョン手術を受けた影響で2018年以来3年ぶりの一軍登板ながら15試合に先発し5勝を挙げた。投球回数は後輩の玉村に及ばず73.1回にとどまったが、勝ち星はひとつ上回っている。
高卒7年目の塹江は2020年に中継ぎで52試合に登板し19ホールドを挙げる活躍。今年も中継ぎとして51試合に登板し、5勝、17ホールドをマークした。
広島には最終戦で先発のマウンドを任された小林 樹斗や昨シーズン19試合に先発した遠藤 淳志、今シーズンは一軍登板がなかった投手でも、山口 翔やアドゥワ 誠といった生え抜きの高卒投手は数多くいる。高橋や玉村に続く存在が出てくれば、投手陣の層はぐっと厚くなる。
<広島・生え抜き高卒投手勝利数>
チーム勝利数:63勝
生え抜き高卒投手勝利数:14勝(22.2%)
(5勝)高橋 昂也(花咲徳栄→2016年2位)
(5勝)塹江 敦哉(高松北→2014年3位)
(4勝)玉村 昇悟(丹生→2019年6位)
(記事:勝田 聡)