心をそろえる

 都立高屈指の部員数を誇る杉並のチームのモットーは「心をそろえる」。「足をそろえ 列をそろえ 声をそろえ」ることが「心をそろえていく」ことに繋がっていく。それは、「人数が多くなればなるほど、1人でも違う方向を向いているとチームはまとまっていかない。学年やポジションや技術の上手下手などの個人差があったとしても、全員が同じ方向を向いて、努力していくことが大切」と言う小林監督の考え方が根底にある。

 都立高の不利な要素はいろいろとある。都立高校にもスポーツ推薦という制度はあるものの、その合格発表は、一般推薦と同じ。そのため、早い段階での内定は出すことができないのだ。成績に自信のない生徒たちは、早くから合格を出すことのできる私立に単願して早々に内定を貰ってしまう。

 また、都立高の熱心な指導者がチームの形を作り上げたころに異動してチームを去るというケースも多い。

そんな状況の中でも情熱を持った都立高の指導者たちは、理想のチームを作ろうと日々励んでいる。

「生徒と一緒になって、自分たちの野球部の実績を作っていきたい」(小林監督)

その思いに共鳴した生徒が集まってきてくれることを願ってやまない。

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