「夏までに150キロを投げたい」

△練習に励む東川投手

 そんな東川は「高卒でプロに行きたいと思っています」と、現時点でプロ志望の意向を明かしている。昨秋のドラフトでは、柴田 獅子投手(福岡大大濠=日本ハム1位)、藤田 琉生投手(東海大相模=日本ハム2位)をはじめ、185センチを超える長身投手が多く指名。いわゆるスケール感や将来性を見据えての評価だが、190センチを超す東川もそれに値する。

 投球練習を見ていても、動きがしなやかでためを作り、ゆったりとしたフォームが特徴的だ。直球の最速も140キロ前半と決して早くはないが、「自分の持ち味は強気に投げるところだと思う。シュートだったり、強い真っすぐだったりで内を攻めるのが得意です」とインコースをえぐるシュート、緩いカーブなど変化球を交え、高さを活かした角度のあるボールで仕留めに行く。

 秋は県大会2試合に登板したが、3回戦では万全な投球とはいかず、6回途中3失点でマウンドを降りた。チームは敗戦し、冬の練習で悔しさをぶつけてきた。

「個人的に4回まではよかったんですけど、5回にバントと決めつけてしまって、甘く入った球を長打にされてしまいました。不本意な一球になってしまったので、一球一球テーマを持って意味のある投球をしたいです」

 春はもちろんのこと、夏も見据えた練習でエースとして甲子園を目指す。

「夏までには150キロを出したいと思っています。体作りもそうですが、フィールディングや人間性、制球力など全てにおいて埼玉県だけでなく、日本でトップレベルの生活をしたいです」

 秋のリベンジに燃える右腕が憧れるのは広島、ヤンキースなどで活躍した黒田 博樹投手(上宮)だ。

「打たせて取りながら試合を作れる投手です。ピンチの場面でギアを上げて三振を取れるのが理想なので参考にしています」

 現役晩年、広島に返ってきてからひた向きに投げている姿を見て憧れを抱いた。自身も広島の看板を背負って活躍した黒田氏のように「150キロのボールを投げ、悪い時でもチームを勝たせられるような選手になりたい」と夏への意気込みを語っている。

 公式戦の経験も少ないが冬の練習の成果を出し、まずは春でアピールしたいところだ。「まずは自分が昌平のエースになって、チームを甲子園に導きたいです」と謙虚な姿勢を貫きつつ、虎視眈々と聖地を狙う。

 急成長を遂げる春となるのか。東川の投球から目が離せない。